現代語訳

・(垂仁)23年(上鈴711年)
 ・9月ツミヱ初の2日、君は「ホンツワケ※は、髭が生えても騒いでもの(言葉)を言わない、これは何故だ?」と詔した
  ・諸臣は会議して、その結果 ヤマトヒメに祈らせることになった
 ・10月8日、君が殿上に立った時、ホンツワケが飛ぶクグヒを見て「これは何ものだ?」と発した
  ・これに君は喜んで、「誰かこの時を捕ってまいれ」と詔した
  ・すると、ユカワタナが「捕るのは臣でしょうか?」と問うた
  ・これに対し、君は「捕った者を褒めてやろう」と答えた
  ・そこで、ユカワタナはクグヒの飛ぶ方を追い訪ね、但馬路を経てイヅモウヤヱまで到り、遂に捕らえた
 ・11月2日、ホンツワケにクグヒを奉じれば、ホンツワケはそれを弄んで言葉を発するようになった
  ・これにより、君はユカワタナを褒めてトリトリヘ(鳥取部)の姓を与えた

※『記紀』『尾張国風土記』に同様の説話が載せられており、『出雲国風土記』の「アジスキタカヒコの誕生」と内容が酷似する

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用語解説

・ホンツワケ:垂仁天皇とサホヒメの御子。『記紀』でいうホムツワケに当たる

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原文(漢字読み下し)

・二十三年九月(ふそみほなつき)
・ツミヱ初(は)の 二日(ふか)御言宣(みことのり)
・ホンツワケ 髭生(ひけお)ひ騒(いさ)ち
・もの言(い)わす これ何故(なにゆえ)そ
・諸議(もろはか)り ヤマト姫(ひめ)して
・祈(いの)らしむ

・十月八日(かんなやか)君(きみ)
・殿(との)に立(た)つ 時(とき)ホンツワケ
・飛(と)ふ鵠(くくひ) 見(み)て曰(いわ)くこれ
・何(なに)ものや 君(きみ)喜(よろこ)ひて
・誰(たれ)かこの 鳥捕(とりとり)り得(ゑ)んや
・ユカワタナ 臣(とみ)これ捕(と)らん
・君(きみ)曰(いわ)く 捕(と)り得(ゑ)は褒(ほ)めん

・ユカワタナ 鵠(くくひ)飛(と)ふ方(かた)
・追(お)ひ尋(たつ)ね 但馬(たしま)路(ち)出雲(いつも)
・ウヤヱにて 遂(つい)に捕(と)り得(ゑ)て
・十一月二日(ねつきふか) ホンツの御子(みこ)に
・奉(たてまつ)る 御子(みこ)玩(もてあそ)ひ
・もの言(い)えは ユカワお褒(ほ)めて
・鳥取部(とりとりへ) 姓(かはね)賜(たま)わる

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります