現代語訳

・(孝元)9年(上鈴513年)
 ・夏、雨が40日降り続いた
  ・これにより、山背の方はアワ海(琵琶湖)が溢れて、稲もミモチに罹ったため、嘆きの報告が為された
 ・そこで、詔によってミケヌシを御使として派遣し、祈らせることにした
  ・アワクニミオにてタナカカミ※に晴れを祈って祓いを為した
  ・カセフノマツリ※はオホナムチのイツモタナカ(出雲田和)の例を以って6月16日に祭を催行した

【本文】

  ・そのヲシエクサのカセフを為したのがオオナムチノタナカノリ※である
  ・6月16日、祭を為して360回歌えばヲシクサによって痛みも直った

【異文】

  ・この守りを以って田に額づけば、稲は甦り、やはり若やぎの瑞穂が成った
  ・民も糧が増えて賑わいを取り戻したことから、ミケヌシオホミケヌシノマツリヲミと名付けられた
  ・この例により、山背も、筑紫 直入県も、出雲も、伊勢も、花山も、毎年 カセフノマツリを行うようになった

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用語解説

・タナカカミ:"田を調え直す守"の意で、オホナムチのことを指す
・カセフノマツリ:稲虫を祓うための祓いの儀式
・オオナムチノタナカノリ:オホナムチが定めた"田を調え直す法"を指す

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原文(漢字読み下し)

・九年(こほ)の夏(なつ) 雨(あめ)四十日(よそか)降(ふ)り
・山背(やましろ)方(た) アワ海(うみ)溢(あふ)れ
・稲(さ)もミモチ 嘆(なけ)き告(つ)くれは
・御言宣(みことのり) ミケヌシ御使(をし)に
・いのらしむ アワ国(くに)水尾(みお)に
・田和守(たなかかみ) 晴(は)れお祈(いの)りて

【本文】

・祓(はらひ)なす カセフ祭(まつり)は
・オオナムチ 出雲(いつも)田和(たなか)の
・例(ためし)以(も)て 六月十六日(みなつきそむか)
・祭(まつり)なす その教草(をしくさ)の

【異文】

・カセフなす これオオナムチ
・田和法(たなかのり) 六月十六日(みなつきそむか)
・行(ゆ)ひは 三百六十歌(みもむそうた)ひ
・押草(おしくさ)に 傷(いた)みも直(なお)る

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります