現代語訳

アラシトが本国(カラクニ)に帰ったとき、土産を奪われてしまったため、新羅の国との戦争になったという
・その際、任那の遣いが(日本にやって来て)このように告げた
 ・「我が国の東北には、栄えた処が3箇所あります
 ・その上・中・下の地は広く、四方に三百延の土が肥えて、民も豊かであるといいます
 ・しかし、今は新羅によって治めを得ず、矛(武器・武力)を求めた生活を余儀なくされています
 ・そのため、臣が願うのは国平けの御使を請うことのみであります」
・この告げに君と臣らが会議をした結果、「クニフクの孫のシホノリヒコ※を遣わすのが良い」という結論に至った
 ・なお、シホノリツは頭の三つのコブがあるため、マツノキミと呼ばれる
 ・また、背は1丈5尺(約4.54m)で80人力を持ち、勇み激しい性格であった
・ここで君は「シホノリヒコをミマナヲシとし、外国を平定するミチツカサに任命する」と詔した
 ・シホノリヒコが これを成して帰ってくれば、君から"吉"という姓を賜った

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用語解説

・シホノリヒコ:ヒコクニフクの孫で、頭に三つの瘤があるため松の君と呼ばれる。新羅との戦に勝利した後に吉の姓を賜った

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原文(漢字読み下し)

・時(とき)にアラシト
・本国(くに)に 帰(かえ)さに土産(みやけ)
・奪(うは)われて 新羅(しらき)の国(くに)と
・仇(あた)起(おこ)り 任那(みまな)の使(つかひ)
・告(つ)け曰(いわ)く 我(わ)か国(くに)東北(きね)に
・三栄(みは)えあり 上(かみ)・中(なか)・下(しも)の
・地(くに)広(ひろ)く 四方三百延(よもみものり)の
・土(つち)肥(こ)えて 民(たみ)豊(ゆた)かなり
・今(いま)既(すて)に 新羅(しらき)の仇(あた)に
・治(をさ)め得(ゑ)す 矛(ほこ)お尋(たつ)ねて
・民(たみ)活(いき)す 臣(とみ)願(ねか)わくは
・国(くに)平(む)けの 御使(をしお)お請(こ)ふのみ

・君(きみ)臣(とみ)と 議(はか)れは曰(いわ)く
・クニフクの 孫(まこ)シホノリツ
・これ好(よ)しそ 頭(かふ)の三瘤(みこふ)
・松(まつ)の君(きみ) 背一丈五尺(せいひたけゐた)
・八十力(やそちから) 勇(いさ)み激(はけ)しく
・御言宣(みことのり) シホノリヒコお
・任那御使(みまなをし) 行(ゆ)き外国(とくに)平(む)く
・道(みち)司(つかさ) 帰(かえ)れは吉(よし)と
・姓(かはね)賜(たま)ひき

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります