現代語訳

・これより以前のこと、アラシトはアメウシ(飴色の牛)に物を背負わせて遣いに出ていた
 ・しかし、牛が居なくなったので、付近の翁に尋ねてみた
 ・すると、翁はこのように答えた
  ・「その牛を持って行こうとする者が、こう言っていた
  ・"この牛は先に貰って食うことにする、もし主が来れば対価を渡そう"
  ・故に、この先でその者を見つけ、対価を問えばよい
  ・また、その時は対価に相手の"祀る神"を得たいと答えよ」
 ・こうしてアラシトは早速 牛を探しに行けば、牛を持って行った村君を見つけた
  ・そこで牛の対価を問われれば、アラシトは「汝らが"祀る神"が欲しい」と言った
  ・すると、神の白石が渡されたので、アラシトは これを持ち帰った
 ・寝室に置いていた白石は、やがて乙女と成った
  ・アラシト乙女と結婚(性交の意)しようと思っていると、乙女はその間に消え失せてしまった
  ・帰ったアラシト乙女が消えたことに驚き、妻に行方を問うと「乙女は東南に去りました」と答えた
 ・アラシトは、乙女の跡を探して追って出でて、船を浮かべてヤマトナニワに到った
  ・なお、乙女は(カラクニから)トヨクニのヒメコソノミヤに到り、ここで神になったという

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用語解説



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原文(漢字読み下し)

・これの先(さき) あめ牛(うし)に物(もの)
・負(おほ)せ遣(や)り アラシト行(ゆ)けは
・牛(うし)見(み)えす 翁(をきな)の曰(いわ)く
・これ推(お)すに 先(さき)に儲(もふ)けて
・これ食(く)わん 主(ぬし)来(き)たりなは
・価(あたい)せん 既(すて)に殺(ころ)しつ
・もし先(さき)て 価(あたい)お問(と)はは
・祭(まつ)る神(かみ) 得(ゑ)んと答(こた)えよ

・探(たつ)ぬれは 村君(むらきみ)牛(うし)の
・価問(あたいと)ふ 答(こた)えて祭(まつ)る
・神(かみ)得(ゑ)んと 神(かみ)の白石(しらいし)
・持(も)ち帰(かえ)り 寝屋(ねや)に置(お)く石(いし)
・成(な)る乙女(おとめ) アラシトこれと
・婚(とつ)かんと 思(おも)ひ行(ゆ)く間(ま)に
・姫(ひめ)失(う)せぬ 返(かえ)り驚(おとろ)き
・妻(つま)に問(と)ふ 曰(いわ)く乙女(おとめ)は
・東南(きさ)に去(さ)る

・跡(あと)お探(たつ)ねて
・追(お)ひ出(い)たり 船(ふね)お浮(うか)めて
・遂(つひ)に入(い)る ヤマト浪速(なみは)の
・ヒメコソの 宮(みや)より出(い)てて
・豊国(とよくに)の ヒメコソ宮(みや)に
・神(かみ)となる

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります