現代語訳

テルヒコ(クシタマホノアカリ)は、ヒタカミからカシマ宮に向かった
 ・その道中で民に出迎えさせようとしたが、農作業が滞るという問題が生じた
・そこで、アマテルはイセに侍るテルヒコの弟のキヨヒト(ニニキネ※)を召して詔をした
 ・「汝(ニニキネ)はタチカラヲ※と共に早船に乗って行き、イワフネを奨めるべし」
・これによって、キヨヒトタチカラヲはワニ船に乗って上総のツクモ(99里浜)に着いた
 ・そして、カシマ宮に居るテルヒコに神言(アマテルの詔)を告げた
・そこで、テルヒコマウラ※を召して占問うた
 ・マウラフトマニ※を行うと"アキニ" という結果が出た
  ・『アキニとは 東風に冷も解け 弊逃る 噤み心の張ぞ 来にける』
  ・(一新とは、温い風に冷えも免れ、それまでの疲れも吹き飛ぶ。噤んでいた心の開放の到来なり)
 ・これにより、「今から春になれば、西の民に疲れの無くなるだろう」と御言が定まった
・そして、ニニキネタチカラヲはヒタカミのオシホミミを拝した後、イサワに帰って報告した

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用語解説

・ニニキネ:オシホミの二男であり、『記紀』でいうニニギに当たる
・タチカラヲ:オモイカネとヒルコの子で、種々の活躍をする。『記紀』でいうタヂカラオに当たる
・マウラ:カグツミの第五子で、カグヤマツミ・カンタマの弟
・フトマニ:"すべてを映すもの"ということの意であり、アワノカミ(日本語の四十八音)を指す(言霊を用いた呪術)

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原文(漢字読み下し)

・ヒタカミお出(て)て
・カシマ宮(みや) その道(みち)民(たみ)の
・出迎(いてむか)ひ 耕(たかや)し欠(か)くと
・聞(きこ)し召(め)し イセに侍(はんへ)る
・御子(みこ)の弟(おと) キヨヒトに神(かみ)
・御言宣(みことのり) 汝(なれ)とチカラと
・早船(はやふね)に 行(ゆ)きて斎船(いわふね)
・奨(すす)むへし

・よりて御孫(みまこ)と
・タチカラヲ ワニ船(ふね)に乗(の)り
・上総(かんふさ)の ツクモに着(つ)きて
・カトリ宮(みな) 神言(かんこと)宣(の)れは

・ホノアカリ マウラを召(め)して
・占問(うらと)えは マウラフトマニ
・アキニ採(と)る 東風(こち)に冷(ひ)も融(と)け
・弊(つみ)逃(のか)る 今(いま)春(はる)なれは
・西(にし)の空(そら) 民(たみ)疲(つか)れ無(な)し
・好(よ)し好(よ)しと 御言(みこと)定(さた)まる

・ニニキネと タチカラと行(ゆ)く
・ヒタカミの 君(きみ)お拝(をか)みて
・由(よし)お告(つ)け 後(のち)に御孫(みまこ)と
・タチカラと イサワに帰(かえ)り
・返言(かえこと)す

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります