現代語訳

アシツヒメは、こう語った
 ・「昔、曾祖父のサクラウシ※が、この桜の木をアマテルに捧げた
 ・アマテルは この桜を大内宮に植えて妹背の道を説き、ナルハナル(和る離るる)を計ったという
 ・桜よ、もし孕んだ子が君の子でなければ枯れよ、君の子であれば咲けよ」
アシツヒメは誓約をしながら白子に桜の木を植え、里に帰って行った
・その後、12ヵ月を経た6月初日(元旦)に3つ子を産んだ
 ・その胞衣の紋が梅・桜・卯花と替ったので怪しんで君に告げたが、返事はなかった
・そこで、アシツヒメは子らと共に裾野に室に籠り(ウツムロ)、周りに柴の垣を築いた
 ・そして、室の中で「もし、君の種でなければ滅びるだろう」と誓約をして火を放った
 ・しかし、火が広がって熱くなり、遂に這い出ようとした
・そのとき、ハラミの峰のタツが現れて水を吐きかけながら、御子を一人ずつ外に導いた
 ・これに諸人は驚き、火を消したところでアシツヒメを室から引き出した
 ・そして、御輿を以ってサカオリ宮に送り、このことをイセに告げた

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用語解説

・サクラウシ:セオリツヒメ、ヲヲヤマカグツミらの父。オオヤマズミ(役職名)の祖に当たる

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原文(漢字読み下し)

・昔(むかし)曽祖父(ひををち)
・サクラウシ この木(はな)捧(ささ)く
・大御神(ををんかみ) 大内(おうち)に植(う)えて
・妹背(いせ)の道(みち) 和(な)る離(なは)るるお
・計(はか)ります

・桜意(さくらい)あらは
・我(わ)か孕(はら)み 他種(あたたね)ならは
・木萎(はなしほ)め 真種(まさたね)ならは
・生(う)む時(とき)に 咲(さ)けと誓(ちか)ひて
・ここに植(う)え 里(さと)に帰(かえ)ます

・十二(そふ)満(み)ちて 六月初日(みなつきはつひ)
・三(み)つ子(こ)生(う)む その胞衣(ゑな)の紋(あや)
・梅(むめ)・桜(さくら) 卯花(うはな)と替(かわ)り
・怪(あや)しめは 君(きみ)に告(つ)くれと
・返(か)え無(な)くて

・姫(ひめ)は裾野(すその)に
・埋室(うつむろ)し 周(めく)りに柴(しは)の
・垣成(かきな)して 母子(ははこ)誓(ちか)ひて
・中(なか)にあり 他種(あたたね)ならは
・滅(ほろ)ひんと 火(ひ)お着(つ)け焼(や)けは
・熱(あつ)かりて 這(は)ひ出(い)てんとす

・峰(みね)の竜(たつ) 水(みつ)吐(は)きかけて
・一人(ひとり)つつ 導(みちひ)き御子(みこ)お
・這(は)ひ出(いた)す 諸人(もろと)驚(おとろ)き
・火(ひ)お消(け)して 姫(ひめ)引(ひ)き出(いた)し
・御輿(みこし)以(も)て 宮(みや)に送(おく)りて
・イセに告(つ)く

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります