現代語訳

【酒法の文(さかのりのあや)】

サホヒコ※がイサワ宮で聞いた話によれば、若宮(オシホミミ※)チチヒメ※を娶った時にタカギ※が酒のいわれを問うた
・そこで、アマテル神はこのように答えたという
 ・「古の天・地・泥には際が無かったが、萌えて分かれれば、アウの陰陽が生じた
  ・そして、陽は天となって日輪が成り、陰は地となって月が成った
 ・神は その中に生まれ、クニトコタチ※はトコヨ国にてヤモヤクダリノミコを生んだ
  ・皆はそれぞれの国(トホカミヱヒタメの各国)を治めた、これが地君の最初である
 ・代嗣の尊はクニサツチ※であり、サキリノミチ(一国制)を受けずにサツチ(中央集権制)で治めた
  ・そして、八御子尊を儲け、そのそれぞれが御子を5人生んだ
 ・八方の代嗣はトヨクンヌ※となり、尊は上から三つに業を分け、それを"君・臣・民"の三件に定めた
  ・また、尊には120の御子があり、当時のアメナルミチ(根本法則・基本法)には女は無かった
  ・そして、これは三代治まる(三代で完結した)

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用語解説

・サホヒコ:不詳だが、ミ6文にヤマクイの斎名とも取れる一節がある(垂仁朝のサホヒコとは異なる)
・オシホミミ:アマテル神とセオリツヒメの御子であり、『記紀』でいうオシホミミに当たる
・チチヒメ:タカキネの娘で、オシホミミの内宮。『記紀』でいう、タクハタチヂヒメに当たる
・タカギ(タカキネ):7代目のタカミムスビであり、『記紀』でいう高木神に当たる
・クニトコタチ:世にまだ男女の性別が無かった世代の独り神の総称。地の先発者、地の先駆者(いくつかの意味がある)
・クニサツチ:ミナカヌシから始まる二十世に続いて八方の国を治める代嗣の君であり、クニトコタチの第二世代に当たる
・トヨクンヌ:クニサツチの代嗣の御子で、クニトコタチの第三世代の君に当たる

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原文(漢字読み下し)

【酒法(さかのり)の文(あや)】

・サホヒコの イサワに聞(き)けは
・若宮(わかみや)の チチ姫(ひめ)娶(めと)る
・その時(とき)に タカギか酒(みき)の
・謂(あや)請(こ)えは 神(かみ)の教(をし)えは

・往(い)にし方(え)の 天(あめ)・地(つち)・泥(うひ)の
・際(きは)無(な)きに 萌(きさ)し分(わ)かるる
・アウの陰陽(めを) 陽(を)は天(あめ)となり
・日輪(ひのわ)成(な)る 陰(め)は地(くに)となり
・月(つき)と成(な)る

・神(かみ)その中(なか)に
・生(あ)れまして クニトコタチの
・トコヨ国(くに) 八方八下(やもやくた)りの
・御子(みこ)生(う)みて 皆(みな)その国(くに)お
・治(をさ)めしむ これ地君(くにきみ)の
・始(はし)めなり

・代嗣(よつき)の尊(かみ)は
・クニサツチ サキリの道(みち)お
・受(う)けされは サツチに治(をさ)む
・八御子尊(やみこかみ) 各々(おのおの)御子(みこ)お
・五人(ゐたり)生(う)む

・八方(やも)の代嗣(よつき)は
・トヨクンヌ 上(あめ)より三(み)つの
・業(わさ)お分(わ)け 君(きみ)・臣(とみ)・民(たみ)の
・三件(みくたり)の 尊(かみ)は百二十(もふそ)の
・御子(みこ)ありて 陽陰和(あめな)る道(みち)は
・女(め)も生(あ)らす 三代(みつよ)納(をさ)まる

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります