現代語訳

・一方、サカムノオノでは蝦夷による城攻めが行われていた
 ・そのため、ここを堅く守っていたが、敵軍は四方に焚木を積み上げて火攻めを為した
  ・なお、この時は70日の日照りが続いて乾燥しており、火がよく燃えた
・この頃、ヤマトタケはヤグラノダケに登って周囲を一望した
 ・そこでキビタケヒコ※をオオイソへ、オオトモタケヒ※をオオヤマの北に回らせて城に向かわせた
  ・これにより、城の南北から分かれて挟み討ちにする形が整った
 ・ヤマトタケは髪を梳いて清め、シラカシノタチとハラミノミハシラを以ってヒミツノキヨハラヒを行った
  ・すると、タツタノカミが現れてコノシロイケのタツが雨を降らせて火を消した
  ・これによってミヤイクサ(宮軍)は士気を取り戻し、勇んで敵軍の半数を討った
・敵が逃げ散って行けば、城を開門してヤマトタケ一行を迎え入れた
 ・そこでオトタチバナヒメ※ヤマトタケを手を取り、安心させてこう言った
  ・「私は始めから各々が焼けないように祈りました、今それが叶って幸せです」
 ・そして、嬉し涙に袖を浸した

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用語解説

・キビタケヒコ:吉備の国を治める臣
・オオトモタケヒ:靫負部を兼ねるホツマ国(甲斐・駿河)の主
・オトタチバナヒメ:タジマモリとハナタチバナヒメの娘で、ヤマトタケ(オウス)のスケ妻

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原文(漢字読み下し)

・相模(さかむ)の小野(おの)の
・城(しろ)攻(せ)めお 固(かた)く守(まも)れは
・仇(あた)輩(やから) 四方(よも)に焚木(たきき)お
・積(つみ)み上(あ)けて 七十日(なそか)日照(ひて)りに
・火(ひ)攻(せ)めなす 乾(かわ)き燃(も)ゆれは

・ヤマトタケ 矢倉(やくら)の岳(たけ)に
・登(のほ)り見(み)て キビタケヒコお
・大磯(おおいそ)へ オオトモタケヒ
・大山(おおやま)の 北(きた)に回(めく)りて
・城(しろ)に入(い)れ 南北(さね)に分(わか)ちて

・ヤマトタケ 髪梳(かみすき)き清(きよ)め
・白橿(しらかし)の 太刀(たち)おハラミの
・御柱(みはしら)と 祈(いの)る火水(ひみつ)の
・清祓(きよはらい)

・タツタの神(かみ)の
・現(あらわ)れて 熟聳池(このしろゐけ)の
・竜(たつ)の雨(あめ) 降(ふ)り火(ひ)お消(け)せは
・宮軍(みやいくさ) 勇(いさ)みて仇(あた)お
・半(なか)は討(う)つ

・皆(みな)逃(に)け散(ち)れは
・閧(とき)お上(あ)け 迎(むか)ひ入(い)る時(とき)
・オト姫(ひめ)は 君(きみ)の手(て)お取(と)り
・安(やす)んせて 僕(やつかれ)始(はし)め
・各々(おのおの)か まさに焼(や)けんお
・祈(いの)りまし 今(いま)幸(さいわ)ひに
・拝(おか)むとて 喜(よろこ)ひ涙(なんた)
・袖(そて)浸(ひた)す

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります