現代語訳

・この時にオキツヒコがアマツミコトを定め、赤白黄の結の幣にヒミツ(火水)を結んだ
 ・オキツヒコが天と地を結んだ以上、ここもタカマノハラ※(サコクシロ※)となった
・よって、それぞれが代々の誓いの宣言を行った
 ・「もしも、鳴神が騒いで地搖り(地震)を起こそうとしたとするならば
  ・そのとき、ヤナヰカクロヒ(東北の一木=柳)を居社に、ヱトの60日余りと空を守るウツロヰの神を現せよう
  ・されば、鳴神はイツワサを為し、地搖りを鎮めるべし
 ・もしも、叢雲が明けを奪い、道に障害を為したとするならば
  ・そのとき、シナトベの神を現して、道の明を奪うシナトノカゼに押し払わせよう
  ・されば、夜の明け方と知らしめるべし
 ・もしも、火穢れがあったとするならば
  ・カグツチの神を現して、たとえ火の勢いが如何であれ、新たに火打ちを改めよう
  ・そして、清きアタゴ(愛宕)と繁み熟し、竈を清く守るべし
 ・もしも、火業(火災)が起きたとするならば
  ・タツタヒメの神を現して、たとえ炎に犯されてもタツタの鎮めによって除くべし
 ・もしも、井の水が絶え、食糧難が起こったとするならば
  ・ミヅハメの神を現して、井出の清水を潔く新たに換えよう
  ・そのため、一奮に水瓶を清く守るべし
 ・もしも、水業(水害)が起こったとするならば
  ・スベヤマズミの神を現して、たとえ長雨によって水が溢れても、山は繁木によって持ち堪えよう
  ・また、地下水の流れを深く為し、常に井堰を守るのだ」
・皆、著しく この誓いを守った

<<前   次>>

用語解説

・タカマノハラ:"天のタカマノハラ"は天上界(宇宙)を指し、"地のタカマノハラ"はヒタカミ(東国)を指すとされる
・サコクシロ:天上の環、天球などの意味合いを指す

<<前   次>>


原文(漢字読み下し)

・この時(とき)に 天(あま)つ御言(みこと)の
・定(さた)まれは 赤白黄(かしき)の結(ゆふ)の
・幣(みてくら)に 火水(みつ)を結(むす)ふ
・オキツヒコ ここもタカマの
・ハラなれは 弥々(よよ)に誓(ちか)ふる
・宣言(のりこち)に

・もしも地搖(くにゆ)り
・鳴神(なるかみ)の 騒(さわ)る障(さわ)りの
・あらん時(とき) 東北(きね)の一木(ひとき)を
・居社(ゐやしろ)に ヱトの六十日(むそか)に
・守(もり)り余(あま)る ヤナヰカクロヒ
・空(うつろ)守(も)る ウツロヰの神(かみ)
・現(あらは)れは たとえ鳴神(なるかみ)
・地(くに)搖(ゆ)るも  厳業(いつわさ)なして
・鎮(しつ)むへし

・もしも叢雲(むらくも)
・明(か)お奪(うは)ひ 道(みち)に障(さわ)りの
・あらん時(とき) シナトベの神(かみ)
・現(あらは)れは 道(みち)の明(か)奪(うは)ふ
・八重雲(やえくも)を シナトの風(かせ)に
・押(お)し払(はら)ひ 夜(よ)も明(あけ)け方(かた)と
・知(し)らすへし

・もしも火穢(ひけか)れ
・あらん時(とき) カグツチの神(かみ)
・現(あらは)れは たとへお猛(たき)の
・かくやあれ 新(さら)に火打(ひうち)の
・改(あらた)めて 清(きよ)き愛宕(あたこ)と
・繁(しき)み熟(よ)り 竈(みかま)清(きよ)く
・守(まも)るへし

・もしも火業(ほわさ)の
・あらん時(とき) タツタ姫(ひめ)の神(かみ)
・現(あら)はれは たとひ炎(ほのほ)に
・はたるとも タツタに鎮(しつ)め
・除(のそ)くへし

・もしも井(ゐ)の水(みつ)
・汲(く)み絶(た)えて 食(みけ)つの障(さわ)り
・あらん時(とき) ミヅハメの神(かみ)
・現(あら)はれは 井手(ゐて)の清水(しみつ)を
・潔(いさきよ)く 新(あら)ため換(か)えて
・一奮(ひとふる)に  水瓶(みかめ)も清(きよ)く
・守(まも)るへし

・もしも水業(みわさ)の
・あらん時(とき) スベヤマズミの
・現(あら)はれは たとひ長雨(なかあめ)
・溢(あふ)れても 山(やま)は繁木(しけき)に
・持(も)ち堪(こた)え 流(なか)れお深(ふか)く
・なすことも 常(つね)に井堰(ゐせき)を
・守(まも)るなり

・皆(みな)守誓(かんちか)ひ
・著(いつし)るきかな

<<前   次>>

現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります