現代語訳

・ある日、ワカヒメ※カナサキ※キツサネ(東西南北)の名の由来を尋ねた
カナサキはこの様に答えた
 ・「日の出ずる方角を東(キ)と言う
 ・日が猛り皆が見る方角を南(サ)と言う
 ・日が落ちる方角を西(ツ)と言う
 ・米と水を釜に入れて炊くには、火頭や煮え花(煮沸の様子?)を皆見るであろう
 ・また、煮終えると米が炊きあがる、食(ミケ)と日の巡りは同じようなものである
 ・寿命は昔からこのように言う
  ・月3食の人は100万年
  ・月6食の人は20万年
  ・今の代は2万年が平均となっている
  ・食べ過ぎれば寿命は短くなる
  ・よってアマテル※は月3食であり、苦いハホナ※を食す
  ・宮の正面が南を向を向いているのは、朝日の霊を受ければ住む人を長生きさせるためである
  ・これによって宮の後ろ、すなわち奥宮を北(ネ)という(南の反対側を指す)
  ・また、奥宮は夜は寝る場所なので"ネ"と呼ぶようになった
 ・木は春は若葉であるが、夏には青葉となり、秋には成熟して紅葉となり、冬には落葉となる
 ・日も同じく、根源(ネ)を北とし、東から出でて(キ)、南で栄え(サ)、果(ツ)は西に付ける
 ・これに加えて央(ヲ)は君が国を治める中心、つまりキツヲサネ(東西央南北)となり、四方の中心を指す
 ・起(キ)は東、栄え(サ)は南、木の実(ツ)は西と、このように身を分け生じる(木の成長を指す)
  ・木の実ゆえ、キ・ミ(君)男女尊を指す語となった」

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用語解説

・ワカヒメ:イサナギとイサナミの第一子であり、『記紀』でいうヒルコに当たる
・カナサキ:いわゆる住吉神であり、アマテルの后の一人であるハヤアキツヒメの父に当たる
・アマテル:イサナギ・イサナミの子であり、『記紀』でいうアマテラスに当たる。日月(太陽・太陰)の顕現と見なされる
・ハホナ:ハラミ山(富士山)に生える寿命を千年延ばす草の一つで、食べると寿命が千年延びるとされる

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原文(漢字読み下し)

・ワカ姫(ひめ)聡(さと)く
・カナサキに 東西南北(きつさね)の名(な)の
・故(ゆゑ)を請(こ)ふ

・翁(をきな)の曰(いわ)く
・日(ひ)の出(い)つる かしらは東
・猛昇(たけのほ)る 皆見(みなみ)る南(みなみ)
・日(ひ)の落(お)つる 西(にし)は熟沈(にしつ)む

・米(よね)と水(みつ) 釜(かま)に炊(かし)くは
・火頭(ひかしら)や 煮(に)ゑ花(はな)皆見(みなみ)
・煮(に)え静(しつ)む 回日(ゑか)一度(ひとたひ)の
・食(みけ)はこれ

・経(ふる)る年(とし)古(ふ)より
・月(つき)三食(みけ)の 人(ひと)は百万(もよろ)に
・月(つき)六食(むけ)の 人(ひと)は二十万(ふよろ)
・今(いま)の代(よ)は ただ二万年(ふよろとし)
・生(い)き均(な)るる 食(みけ)重(かさ)なれば
・齢(よわい)なし 故(ゆえ)に御神(をんかみ)
・月(つき)に三食(みけ) 苦(にか)きハホ菜(な)や

・南(みなみ)向き 朝気(あさき)お受(う)けて
・長生(なかい)きの 宮(みや)の後(うしろ)を
・北(きた)と言(い)ふ 夜(よる)は寝(ね)る故(ゆゑ)
・北(きた)はネぞ

・もし人(ひと)来(き)たり
・応(こと)わけん 会(あ)わねば北(きた)よ
・会(あ)ふば日方(はひて) 南(みなみ)に事(こと)を
・分(わ)きまえて 落(お)ち着(つ)くは西(にし)
・帰(かえ)る北(きた) 北(きた)より来(き)たりて
・北(きた)に返(かえ)る

・木(き)は春(はる)若葉(わかは)
・夏(なつ)青葉(あおは) 秋(あき)熟(に)ゑもみち
・冬(ふゆ)落葉(おちは) これも同(おな)しく
・根(ね)は北(きた)に 萌(きさ)す東(ひかし)や
・南(さ)に栄(さか)ゑ 果(つ)は西(にし)付(つ)くる

・ヲは君(きみ)の 国(くに)治(をさ)むれば
・東西央南北(きつをさね) 四方(よも)と中(なか)なり
・起(き)は東(ひかし) 華栄(はなはも)南(みなみ)
・子(こ)の身(み)西(にし) 身(み)を分(わ)け生(お)ふる
・木(き)の実(み)ゆえ キ・ミは男女尊(をめかみ)

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります