現代語訳

ワカムスビ※は蚕を桑に這わせて糸を生みだした
 ・ココリヒメはその糸を結って布を仕立てた、故に絹織りのコヱネクニという
モノヌシ(コモリ)は、北より巡って越(越根国)に来て、以前の絵を進上した
 ・ココリヒメは、そのトリタスキ(鳥が群れる様)の絵を綾に織り成して 天に捧げた
 ・また、それはニシノハハ(ウケステメ)の土産にもなって世に残っている
コモリがタガに到れば、ツエの妻となったアサヒメが迎い出た
 ・コモリは桑の状態の善し悪しを見て、アサヒメに繭糸を以って布を織らせた
 ・その際、タチヌヒの道を教えてヲコタマノカミ※(クシヒコ)を祀り、五座(東西央南北)を治めた
 ・そして、アサヒメは布を差し作り、民にタチヌヒの道を教えると、それが八方に伝わった
 ・これによりヲコタマノカミはコヱクニノカミと呼ばれるようになり、ヲコノサトはコカヒ(蚕飼)を得た

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用語解説

・ワカムスビ:カグツチとハニヤスから生んだ神で、頭から蚕・桑、臍からソロを生んだ。『記紀』でいうワクムスビに当たる
・ヲコタマノカミ:"日本の大地 (土・埴) を治める尊"と"和道に適う皇の垣の尊"(いわゆる倭大国魂神のこと)

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原文(漢字読み下し)

・ワカムスビ 籠子(このこ)お桑(くわ)に
・糸(いと)生(な)せは ココリ姫(ひめ)結(ゑ)て
・衣(みは)ささく 繭結根(こゑね)の国(くに)そ

・モノヌシは 北(きた)より巡(めく)り
・越(こゑ)に来(き)て かの絵(ゑ)お進(すす)む
・ココリ姫(ひめ) 紋(あや)に織(お)り和(な)す
・鳥(とり)たすき 天(あめ)に捧(ささ)けて
・また西(にし)の 母(はは)か土産(みやけ)と
・世(よ)に遺(のこ)る

・タガに到(いた)れは
・ツエか妻(つま) アサ姫(ひめ)迎(むか)ふ
・モノヌシは 桑(くわ)良(よ)きお見(み)て
・アサ姫(ひめ)に 繭交(こか)ひ衣(きぬ)織(お)る
・経緯(たちぬひ)の 道(みち)教(をし)ゆれは

・皇籠尊(をこたま)の 神(かみ)お纏(まつ)りて
・五座(ゐくら)治(た)し 衣差(みはさ)し作(つく)り
・経緯(たちぬひ)の 道教(みちをし)ゆれは
・八方(やも)通(とほ)り 繭結国(こゑくに)の守(かみ)
・皇籠(をこ)の里(さと) 繭交(こか)ひ得(ゑ)るなり

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります