現代語訳

・説明の後、ツクバウシは「欲を捨て去るには財を皆捨てて、それでも楽しんで人生と全うせよと言うのか?」と問うた
カスガは答えた
 ・「そうではありません
 ・例え財欲から遠退いても、十分に楽しめるはずです
 ・財欲に飢えても施しは受けず、曰く"汚れた施しを受ければ、汚れた人となるぞ"を聞いていないのですか?
 ・真直ぐでなければ人と成らず、世に在りながら その業で産んだ財をただ乞うて、競うのは愚かで大損を招きます」
ツクバウシは「では、財を捨て去る方法とは?」と問うた
カスガは答えた
 ・「欲を捨て去るには"ステズアツメズ(棄てず集めず)"の技を知ることが重要です
 ・例えば、財を集めて蔵を満たしても、結局は塵芥のようなものとなるでしょう(いずれは価値が無くなる)
 ・一方、心の素直な人を見つけて我が子の如く取り立てて、充足を感じれば欲も無いのと同じです(価値が続く)
 ・つまり、財を塵の如く集めて余人を圧迫すれば、羨むモノ(ハタレ)に咬まれます
 ・されば、タマノヲも乱れ、仕方なく来世を守らぬタマカエシをすることになるでしょう(外法か?)
 ・タマカエシで緒が解けて陽陰の宮に入ることができますが、なさねば永遠に苦しむことになるのです」

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用語解説

・ステズアツメズ:欲心から離れるために必要な方法で、"棄てず集めず"の精神を指す

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原文(漢字読み下し)

・ツクバ大人(うし) 欲(よく)お去(さ)るには
・皆(みな)捨(す)てて 楽(たの)しみ全(まつ)つや

・カスガマロ 然(し)らす遠(と)めて
・足(た)らさらは 飢(う)えは施(ほとこ)し
・受(う)けんかや 曰(いわ)く汚(きたな)し
・施(ほとこ)しを 受(う)けは汚人(ほゐと)そ
・聞(き)かさるや

・直(なお)からされは
・人(ひと)ならす 世(よ)に在(あ)りなから
・その業(わさ)に 産(う)める財(たから)を
・たた乞(こ)ひて 競(くら)ふ愚(いぬ)こそ
・大(あ)の潰(つみ)よ

・また問(と)ふ財(たから)
・去(さ)る如(こと)は

・カスガまた説(と)く
・欲(ほし)去(さ)るは 棄(す)てす集(あつ)めす
・技(わさ)を知(し)れ 財(たから)集(あつ)めて
・蔵(くら)に満(み)つ 塵(ちり)や芥(あくた)の
・如(こと)くなり

・心(こころ)素直(すなお)の
・人(ひと)あらは 我(わ)か子(こ)の如(こと)く
・取(と)り立(た)てて 充(み)な足(た)す時(とき)は
・欲(ほし)も無(な)し

・塵(ちり)と集(あつ)めて
・余(よ)に迫(せま)り 羨(うらや)むモノが
・咬(か)む故(ゆえ)に 霊(たま)の結(を)乱(みた)れ
・みやなくて 末(すゑ)守(まも)らぬを
・霊還(たまかえ)し なせは結(を)解(と)けて
・宮(みや)に入(い)る なさねば永(なか)く
・苦(くる)しむそ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります