現代語訳

・(カスガは続けた)
・「アマテルサルタを召して詔した
 ・『サルタよ、汝には昔、サカホコギ、ウツクシキスズ、ワイキタチを授けた
 ・カカンノンテン(発生・成長・熟成)の時を待ち、それらを以って日月の道を表すべし』
アマテルセオリツヒメを召して詔した
 ・『セオリツヒメよ、ヒロタに行ってワカヒメ※と共にヰココロ(妹心)を守るべし
 ・私はトヨケと共に背を守る、これがイセノミチ(妹背の道)である
アマテルコヤネ(カスガ)を召して詔した
 ・『コヤネよ、汝が良く知っているであろう
 ・タケコの子にクシヒコ※が生まれて、それが真直ぐであったことから天の逆矛を授けた
 ・クシヒコは鑑みてミモロに入り時を待っている
 ・これは和の道が衰退した時にまた出て 道を再興するためであるのだ
 ・汝もまた鏡臣として軽い立場では無い
 ・神(日月)を都に留めよ、されば私も都を守護しよう
 ・このミヨノミハバコとミヲシテを受け取るがよい
 ・汝 カスガよ、この遺し物をタガに持って行き(天君に)捧げよ』
・この後、カスガ(コヤネ)君(ウガヤ)アマテルの遺し物を奉った
 ・なお、カミノヲシテ※サヲシカヤタノカンムリ※衣装ココチリ※であった」

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用語解説

・ワカヒメ(ヒルコ):イサナギ・イサナミの子であり、アマテルのイロトのワカヒルメとなった。『記紀』でいうヒルコに当たる
・クシヒコ:オホナムチとタケコの長男で、初代コトシロヌシ。『記紀』でいうコトシロヌシだが、オオクニヌシの要素も持つ
・カミノヲシテ:"アマテル神の手による文"を指す
・サヲシカヤタノカンムリ:人々に宿る神々と繋がっており、被ると臣民の心身の状態を知ることができるという冠
・ココチリ:"祭礼用の衣装に使われる菊を散らした紋"のこと

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原文(漢字読み下し)

・またサルタ 昔(むかし)授(さつ)くる
・サカホコキ 美(うつく)しき鈴(すす)
・地生(わい)き太刀(たち) カカンノンテン
・時(とき)待(ま)ちて 道現(みちあらは)せよ

・また后(きさき) ヒロタに行(ゆ)きて
・ワカ姫(ひめ)と 共(とも)に妹心(ゐこころ)
・守(まも)るへし 我(われ)はトヨケと
・背(をせ)お守(まも)る 妹背(ゐせ)の道(みち)なり

・またコヤネ 汝(なんち)良(よ)く知(し)る
・タケコか子(こ) クシヒコ生(う)まれ
・直(す)くなれは 授(さつ)く御矛(みほこ)に
・鑑(かんか)みて ミモロに入(い)りて
・時(とき)待(ま)つも 道衰(みちおとろ)はは
・また出(い)てて 興(をこ)さんためや

・汝(なんち)また 鏡(かかみ)の臣(とみ)は 
・軽(かろ)からす 神(かみ)お都(みやこ)に
・留(とと)むへし 我(われ)も守(まも)らん
・これなりと 礼(みと)の御衣箱(みははこ)
・御(み)ヲシテと 汝(なんち)カスガよ
・遺(のこ)し物(もの) タガに持(も)ち行(ゆ)き
・捧(ささ)けよと 自(みつか)らこれお
・授(さつ)けます カスガは君(きみ)に
・奉(たてまつ)る 神(かみ)のヲシテと
・差使(さをしか)の 冠(かむり)と衣裳(はも)は
・菊散(ここちり)そ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります