現代語訳

【遺し文 清汚を立つ文(のこしふみさかおたつあや)】

・諸守のサカ※(清汚)を決める時のこと、サホコよりツハモノヌシ※がカグノミヤ(橘宮)に雉を飛ばして報告した
 ・「ネ国のマスヒト※クラキネ※は、民(たみ)出身のサシミメを妻として間にクラコヒメを儲けた
  ・すると、サシミメの兄のコクミを"子の如く"扱ってサホコチタルの副マスヒトとした(コクミを出世させた)
  ・また、クラキネが亡くなる時にクラコヒメの夫のシラヒトをネ国のマスヒトとした
 ・しかし、クラコヒメが父・クラキネの遺骸を立山に納めた後、シラヒト母子(サシミメ・クラコ)を捨ててミヤツに送った
  ・すると、コクミは送られてきた母子を犯すという罪を為した
  ・サホコのマスヒトのカンサヒは、これを正さねばならないと思っているが、この件の処分を諸臣に請う」
・すると、勅許が下りてすぐにサヲシカ(勅使)が派遣され、カンサヒコクミサシミメクラコヒメがタカマに招集された

※このときは、役人の刑罰を定める時のことであった("清汚を立つ"の意)

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用語解説

・サカ:善悪の区別を指す
・ツハモノヌシ:トヨケの子で、カンサヒの弟。このときはサホコ国の副マスヒトであった
・マスヒト:中央から任命された地方の国を治める地方官を指す。『大祓詞』では天之益人(あめのますひと)と表記される
・クラキネ:アワナギの子で、イサナギ・ココリヒメの弟。アマテルに娘のモチコ、ハヤコを嫁がせている

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原文(漢字読み下し)

【遺(のこ)し文(ふみ) 清汚(さか)お立(た)つ文(あや)】

・諸守(もろかみ)の 清汚(さか)を立(た)つ時(とき)
・サホコより ツハモノヌシか
・橘宮(かくみや)に 雉(ききす)飛(と)はせて

・マスヒトが 民(たみ)のサシミメ
・妻(つま)となす クラ姫(ひめ)生(う)めは
・慈(いつく)しみ 兄(あに)のコクミを
・子(こ)の如(こと)く サホコチタルの
・マスヒトや 今(いま)は副(ふく)なり

・クラキネが 罷(まか)れる時(とき)に
・シラヒトを 根(ね)のマスヒトに
・クラコ姫(ひめ) 身(み)お立山(たてやま)に
・納(おさ)む後(のち) 母子(ははこ)お捨(す)てて
・西(つ)に送(おく)る コクミ母子(ははこ)を
・犯(おか)す罪(つみ) カンサヒこれを
・正(たた)さねは 臣(とみ)これを請(こ)ふ

・御端(みはた)より 差使(さおしか)に召(め)す
・カンサヒと コクミ・母(はは)・子(こ)と

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります