現代語訳

【君臣 遺し法の文(きみとみのこしのりのあや)】

・50鈴1000枝20年、天君が代わった
・このとき、"暦が未だ(植え継ぎが未だ)"だったことから、モノヌシ(クシミカタマ)がイセに詣でて問うことにした
 ・アメフタヱも「代殿(クシミカタマ)に受ける喜び」と言って、共にイセに到った
・イサワ宮の大内宮にてカスガに会って原因を問うと、カスガはこのように答えた
 ・「この鈴は天地を開いたクニトコタチの宮のマサカキに始まる
  ・アヱ(熟枝)は千枝でサクスズ(栄鈴)となる
  ・鈴が500に至ればミモハカリで万歳に満ちて、五百継ぎのアメノマサカキ※となった(真榊は3千万年で天寿が極まる)
  ・1年に穂が半寸、10年には5寸伸び、60年になれば3尺にまで伸びてヱトが1回りする、その明くる年に3尺の熟枝となる
  ・なれば、二兄弟(ヱ尊・ト尊)はキアヱより枝と穂とを数え、1枝で60年、10枝で600年、100枝は6000年、千枝で6万年
  ・これにてアマモリ(ヱト守)の1巡りずつの暦がなる(60年で1巡り)
 ・故に千枝の年(=999枝60穂)に種を植えて、明ければ生える真榊をキノトコタチ※がハコクニ宮に植えた
  ・これにより国名も変わり、以来 ヒタカミのタカミムスビ※が植え継いだのが21鈴100枝後である
 ・その後、5代タカミムスビのタマキネ※の娘のイサコタカヒトと結婚してナナヨノカミとなった
  ・二尊はヒタカミの西南の筑波山のイサ川の端にあるイサ宮に居り、名前もイサナミ※イサナギ※に変わった
  ・二尊に嗣子が無かった時、タマキネが葛城山で祈るとアメミヲヤ※が日輪の神霊を分け下してアマテル神※を生んだ」

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用語解説

・アメノマサカキ:上古の暦の指標とされる榊であり、6万年で枯れて植え継がれるという
・キノトコタチ:ハコクニの子で、初代タカミムスビを指す
・タカミムスビ:「ヒタカミ国を統べる者」という役職名を指す
・タマキネ(トヨケ):イサナミの父であり、五代目タカミムスビに当たる。いわゆる豊受大神に当たり、多大な功績を遺した
・イサナミ(イサコ):タマキネ(豊受大神)の娘であり、イサナギと結婚して七代目を嗣ぐ(『記紀』でいうイザナミ)
・イサナギ(タカヒト):アワナギの長男であり、イサナミと結婚して七代目を嗣ぐ(『記紀』でいうイザナギ)
・アメミヲヤ:大宇宙の根源の意識であり、いわゆる創造主を指す
・アマテル神:いわゆるアマテラス(男神)であり、地上における日月の顕現とされる(地上における「神」として捉えられる)
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原文(漢字読み下し)

【君臣(きみとみ) 遺(のこ)し法(のり)の文(あや)】

・五十鈴(ゐそすす)の 千枝(ちゑ)の二十年(はたとし)
・天(あめ)代(か)わる 暦(こよみ)またとて
・モノヌシか イセに詣(もふ)てて
・これお問(と)ふ

・フタヱこれより
・伺(うかか)はて 代殿(との)に請(こ)く
・喜(よろこ)ひと 共(とも)に到(いた)れる
・大内宮(みや)

・カスガに会(あ)いて
・原因(もと)お問(と)う 翁(をきな)答(こた)えて

・この鈴(すす)は 天地(あめつち)開(ひら)く
・トコタチの 宮(みや)の真榊(まさかき)
・熟枝千枝(あゑちゑ)に さく鈴(すす)となる
・植(う)ゑ継(つ)きの 五百(ゐも)に至(いた)れは
・三百(みも)ハカリ 万歳(よろとし)満(み)ちて
・五百継(ゐもつ)きの 天(あま)の真榊(まさかき)

・年(とし)の穂(ほ)の 十年(ととせ)には五寸(ゐき)
・六十年(むそとし)に 三尺(みた)伸(の)ふヱトの
・一回(ひとめく)り 明(あ)くる年(とし)成(な)る
・三尺(みた)の熟枝(あゑ)

・なれは二兄弟(ふたゑと)
・キアヱより 枝(ゑ)と穂(ほ)と数(かそ)え
・一枝六十(ひとゑむそ) 十枝(ゑと)は六百年(むもとせ)
・百枝(もゑ)は六千(むち) 千枝(ちゑ)に六万(むよろ)お
・陽陰守(あまもり)の 一回(ひとめく)りつつ
・暦(こよみ)成(な)る

・故(かれ)千枝(ちゑ)の年(とし)
・種(たね)植(う)ゑて 明(あ)くれは生(う)ゆる
・真榊(まさかき)お ハコクニ宮(みや)に
・トコタチの 植(う)えて国(くに)名(な)も
・ヒタカミの タカミムスビの
・植(う)ゑ継(つ)きの 二十一(ふそひ)の鈴(すす)の
・百枝後(ももゑのち)

・五代(ゐよ)タマキネの
・イサコ姫(ひめ) 七代(ななよ)の尊(かみ)の
・タカヒトと タカヒの西南(つさ)の
・ツクバ山(やま) イサ川端(かわは)なる
・宮(みや)に居(ゐ)て 頷(うなつ)きあみて
・キ・ミ合(あ)ひて 名(な)もイサナキと
・イサナミの

・陽陰二尊(あめふたかみ)の
・御子(みこ)なきお 故(かれ)タマキネの
・カツラキの 山(やま)に祈(いの)れは
・アメミヲヤ 日輪(ひのわ)の神霊(みたま)
・分(わ)け下(くた)し アマテル神(かみ)お
・生(う)み給(たま)ふ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります