現代語訳

ヲヲナムチ※スクナヒコナ※も共々に国を巡り恵んだ
 ・その最中、食糧の尽いた民に牛肉を食べることを許せば、その田にイナムシが発生し、民は嘆き苦しんだ
・これを聞いたヲヲナムチはアメヤスカワのワカヒルメ※(ヒルコ※)に対策を問うと、答えにヲシヱクサを賜った
 ・それを押して扇げば、忽ちにホオムシは去って行き、稲草は実るほどに若返った
・これにより、ワカヒルメの尊はタカテルヒメシタテルヒメトシノメグミノオオンカミの名で呼ばれた
 ・また、ヒタルノトキ(晩年)にはアユミテルヒメ(オクラヒメ※)シタテルヒメの名を授けた
 ・そして、ワカ国のタマツミヤにヲシテ(遺書)を残して隠れた(神上がった)
・なお、サタ(佐太大神)とは多くの子孫を残し、大いに富んだヲヲナムチのことである

※同様の説話が『古語拾遺』にも記される

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用語解説

・ヲヲナムチ:ソサノヲとイナタヒメの五子で、出雲建国後初の子。『記紀』でいうオオナムチに当たるが、微妙に異なる
・スクナヒコナ:カンミムスビの子で、オホナムチと協力して病気治療や害獣・害虫の駆逐を行う。(『記紀』のスクナヒコナ)
・ワカヒルメ:二尊の御子に復帰し、アマテルの妹となったヒルコの別名(別に"相手に譲って和を求める女"の意があるという)
・ヒルコ:イサナギとイサナミの第一子であり、『記紀』でいうヒルコに当たる
・オクラヒメ:アメワカヒコの妹で、その葬儀で憤慨したタカヒコネを諌めた(『記紀』でいう葬儀の際のシタテルヒメ)

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原文(漢字読み下し)

・ヲヲナムチ スクナヒコナも
・共々(ともとも)に 国々(くにくに)恵(めく)る
・折(おり)しもに 糧(かて)尽(つ)く尽(たみ)に
・牛(うし)の肉(しし) 許(ゆる)すその田(た)に
・厭虫(ゐなむし)の 穢(お)ゑる嘆(なけ)きの
・ヲヲナムチ 天(あめ)ヤスカワの
・ワカヒルメ 問(と)えは答(こた)えの
・教(をし)ゑ草(くさ) 押(お)して扇(あふ)けは
・忽(たちま)ちに 蝕虫(はふむし)去(い)にて
・稲草(いなくさ)は やはり実(みの)りて
・若返(わかかえ)る

・尊(かみ)はタカテル
・シタテルの 年(とし)の恵(めく)みの
・大御守(おおんかみ) ひたるの時(とき)に
・賜(たま)ふ名(な)わ アユミテル姫(め)に
・シタテルと サタのタカ姫(め)は
・タカテルと 授(さつ)くるワカの
・タマツ宮(みや) ヲシテ残(のこ)して
・隠(かく)れます サタは弥(いや)増(ま)す
・子孫(みこみまこ) 百八十(ももやそ)富(と)める
・ヲヲナムチかな

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります