現代語訳

【衣定め 剣名の文(みはさためつるきなのあや)】

・天地の内外に清が通る時、ミチモノノベ(三千の司)らがシラヰシ(政所)にて剣を拝んだ
・その際、モノヌシのクシヒコ※が「斬るも宝」のいわれを問うたとき、アマテルが答えて詔した
 ・「剣の基はアメノホコ(和の矛)である
 ・クニトコタチ※が治めるトコヨの御代には、皆 素直に和を守ったので矛は要らなかった
 ・心を活き優く上の代は、千万年のコトフキ(寿)を得ていたのである
 ・ウヒチニ※の代も厳か(厳粛)であり、飾る心も無く寿も百万年続いた
 ・オモタル※の民は研ぎ優れ(利口の意)、モノを奪うようになったので、そうした者は斧で斬って治めた
 ・しかし、斧は木を伐る器物であるため、カネリ(金錬人)に矛を造られた
 ・そして、その矛で鋭い者を斬っていったためオモタルには代嗣が無く、民の齢も8万年になった
 ・齢は食物にもよるが、昔よりもヨロスス(寿命)も減ったが、百年から また万年に増す
 ・これは鈴を結ぶカミなり(心の源による→ミ4文)
 ・恐れるべきは、ナツミト(容疑者)を斬って冤罪を生めば、それによって子種が絶たれる
 ・故に、斬るのは当然 謹まなければならない」

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用語解説

・クシヒコ:オホナムチとタケコの長男で、初代コトシロヌシ。『記紀』でいうコトシロヌシだが、オオクニヌシの要素も持つ
・クニトコタチ:世にまだ男女の性別が無かった世代の独り神の総称。地の先発者、地の先駆者(いくつかの意味がある)
・ウヒチニ:トヨクンヌの後を継いだ四代目の君であり、夫婦となった史上初の男尊である
・オモタル:オオトノチの後を継いだ六代目の君

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原文(漢字読み下し)

【衣定(みはさため)め 剣名(つるきな)の文(あや)】

・天地(あめつち)も 内外(うちと)も清(きよ)く
・通(とほ)る時(とき) 三千(みち)モノノベら
・領居州(しらゐし)に 剣(つるき)拝(おか)みて
・モノヌシか 斬(き)るも宝(たから)か
・故(ゆえ)お請(こ)ふ 時(とき)に和照(あまて)る
・御言宣(みことのり)

・剣(つるき)の基(もと)は
・和(あめ)の矛(ほこ) クニトコタチの
・代(よ)にはまた 矛無(ほこな)き故(ゆえ)は
・素直(すなほ)にて 和(の)りお守(まも)れは
・矛(ほこ)要(い)らす

・心(こころ)活(ゆ)き優(す)く
・上(かみ)の代(よ)は 千万年(よろとし)の
・寿(ことふき)も ウヒチニの代(よ)は
・厳(おこそ)かに 飾(かさ)る心(こころ)の
・寿(ことふき)も 百万年(ももよろとし)そ

・オモタルの 民(たみ)研(と)き優(すく)れ
・物奪(ものうは)ふ これに斧(おの)以(も)て
・斬(き)り治(をさ)む

・斧(おの)は木(き)お伐(き)る
・器(うつわ)ゆえ 金錬(かね)りに矛(ほこ)お
・造(つく)らせて 鋭(と)き者(もの)斬(き)れは
・代嗣(よつき)無(な)し 民(たみ)の齢(よわひ)も
・八万(やよろ)均(な)れ

・食(け)にもよれとも
・昔(むかし)あり 万鈴(よろす)も減(へ)り
・百年(もとせ)より また万(よろ)に増(ま)す
・これ鈴(すす)お 結(むす)ふ上(かみ)なり

・恐(おそ)るるは 泥(なつ)み人(ひと)斬(き)れは
・子種(こたね)絶(た)つ 実(け)に謹(つつし)めよ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります