現代語訳

ニニキネは自ら巡幸し、ニシナカクニ※のヤマオモテ(山陽)に井堰・堤を築いて新田を成した
・西に到って禿山の有無を問えば、粗長が"アキ(安芸)"と答えて、詳しく説明した
 ・「アキと聞けば木の有る名のように聞こえますが、木はありません
 ・これには理由があり、以前、此処に棲むオロチが国守の姫を飲み込んで行きました
 ・そこで、オロチを追いだそうと木を焼いてしまったのです
 ・すると、オロチはヒカワに逃げたそうですが、そこで斬られてしまったそうです(ソサノヲによる)
 ・ですが、山は今の通り禿山です、きこりは斬る木が無いので暇に飽きたと言っています」
ニニキネは笑んで「まあ、嘆くでない」と言い、アカツチ守にこのことを教えた
 ・すると、アカツチは檜や杉の種を植えていき、10年も経てば木々が峰中に成った
 ・これにより、田水も絶えることなく国が豊かになった
・また、ヤマカケ(山陰)も巡幸して所々に井堰を築き、高田を開拓して帰った
 ・すると、豊かな年が続いて3万年経った

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用語解説

・ニシナカクニ:本州の西部を指し、ヤマオモテとヤマカゲに分かれる

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原文(漢字読み下し)

・君(きみ)は自(みつか)ら
・巡幸(みか)りなす 西中国(にしなかくに)の
・山表(やまおもて) 堰(いせき)・堤(つつみ)に
・新田(あらた)成(な)す

・西(にし)に到(いた)りて
・禿山(はけやま)お 問(と)えは粗長(あれおさ)
・アキと言(い)ふ 木(き)の有(あ)る名(な)にて
・無(な)き如何(いか) これオロチあり
・国守(くにかみ)の 姫(ひめ)お呑(の)む故(ゆえ)
・皆(みな)焼(や)けは 逃(に)けてヒカワに
・斬(き)られける 然(しか)れと山(やま)は
・禿(かふと)なり 今(いま)にきこりの
・暇飽(いとまあ)き

・天君(きみ)笑(え)みて
・嘆(なけ)くなと アカツチ守(かみ)に
・これ教(をし)ゑ 檜(ひ)・杉(すき)の種(たね)お
・植(う)ゑさしむ 十年(ととせ)に成(な)りて
・峰籠(みねこも)る 田水(みつ)も絶(た)えす
・国(くに)豊(ゆた)か

・また山陰(やまかけ)も
・巡恵(みめく)りて 所々(ところところ)に
・堰(いせき)成(な)し 高田(たかた)拓(ひら)きて
・帰(かえ)ります 豊(ゆた)かなる年(とし)
・三万(みよろ)経(へ)る

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります