現代語訳

・(景行)17年(上鈴804年)
 ・3月12日、君はコユカタのニモノに御幸して東を望んで昔を物語る詔をした
  ・「上祖天君(ニニキネ)は高千穂の峰に登って朝日を拝んで辞洞に入り、妻の方を向いてカミ(上下)を恵む神となった
  ・国の名である賀茂もこれに由来し、"カ""上"の、"モ""下""青人草を恵むこと"を意味している
  ・そして、鳴神(雷)と雨をほど良く別けて満繁の潤いを恵んで民を賑わせたのである
  ・故に この功績はカモワケツチ(上下別雷)の神心と言えよう」
 ・こうして賀茂の神を仰いで神祭を催行し、都の空を眺めて御歌を歌った
  ・『愛しきよし 我家の方ゆ 雲出立ち 雲は大和の 国の幻 復棚引くば 青垣の 山も籠れる 山繁は 命の真十よ 煙火せば ただ子思え 熟山の 白橿が枝を 頭に挿せ愛子』
  ・(愛しい我が家の方に雲が立っている、雲は大和の国の投影、雲が幾重に連なればミモロヤマもその麓の都も繁っているのが良く分かる、山が繁ることは命の鏡である、煮炊する煙を見れば直ちに子らを思い出す、香具山の精がし枝を頭に挿して、自身の山を繁らせよ、愛しい子らよ)

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用語解説



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原文(漢字読み下し)

・十七年三月十二日(そなやよひそふ)
・子湯県(こゆかた)の 丹裳小野(にもの)に御幸(みゆき)
・東(き)お望(のそ)み 昔(むかし)思(おも)して
・宣給(のたま)ふは 上祖天君(みをやあまきみ)
・高千穂(たかちほ)の 峰(みね)に登(のほ)りて
・日(ひ)の山(やま)の 朝日(あさひ)に辞(いな)み
・妻(つま)向(むか)ひ 上下(かみしも)恵(めく)む
・神(かみ)となる

・国(くに)の名(な)もこれ
・カは上(かみ)の 遍(あまね)く照(て)らす
・モは下(しも)の 青人草(あおひとくさ)お
・恵(めく)まんと 鳴神(なるかみ)の雨(あめ)
・良(よ)き程(ほと)に 別(わ)けて満繁(みそろ)の
・潤(うるほ)ひに 民(たみ)賑(にき)はせる
・功(いさおし)は 上下別雷(かもわけつち)の
・神(かみ)心(こころ)

・かくそ仰(おほ)して
・神祭(かみまつ)り 都(みやこ)の空(そら)お
・眺(なか)む御歌(みうた)に

・愛(は)しきよし 我家(わきへ)の方(かた)ゆ
・雲(くも)出立(いた)ち 雲(くも)は大和(やまと)の
・国(くに)の幻(まほ) 復棚(またたな)引(ひ)くは
・青垣(あおかき)の 山(やま)も籠(こも)れる
・山繁(やましろ)は 命(いのち)の真十(まそ)よ
・煙火(けむひ)せは たた子(みこ)思(おも)え
・熟山(くのやま)の 白橿(しらかし)か枝(ゑ)お
・頭(うす)に挿(さ)せ愛子(このこ)

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります