現代語訳

・(コヤネは続けた)
 ・「正に聞くべし、二尊は天のアワウタによって国を生み、地のアワ歌によって音声を調和する(言葉を揃える)
 ・その後、二尊は一姫を生む時に、昼だったので名をヒルコヒメ※と名付けた
 ・年を越えれば、タラチネ(二尊)の齢は42歳、33歳と汚穢隈に当たる年齢であった
 ・女は"タ(陽)"、男は"ラ(陰)"に当たれば障りをなす、故にこれに当たらせまいと姫を捨てることにした
 ・カナサキ※"子の早枯れの痛みも乳を与えて養うことが痛みを忘れる種となる"と思って姫を拾い上げた
 ・そしてヒロタノミヤを造って育て上げ、その間にカナサキは詔(誰の?)の内容を常に教え込んだ
  ・『起尽の始めはアワウワ(混沌)でテフチ(成長)、シホノメ(開眼)となる
  ・生まれた日には炊いた飯を備え、それからタチマヒ(立舞)を教え、三歳の冬にはカミアゲをする
  ・その年、初日・十五日(1月1日・1月15日)には陽陰(日月)を敬う
  ・また、桃の節句(3月3日)には雛、端午の節句(5月5日)には菖蒲に茅巻を備えて祝う
  ・そのほか、棚機(7月7日)や菊・栗(9月9日、9月13日)も祝う
  ・また、5歳の冬(11月)には男はハカマ、女はカヅキを着る』
 ・また、言葉を直すアワウタを常に教えた
  ・『"アカハナマ イキヒニミウク フヌムエケ ヘネメオコホノ モトロソヨ ヲテレセヱツル スユンチリ シヰタラサヤワ"
  ・このアワノウタを、カダガキを打った音色に合せて歌えば、自ずと声も明らかになる
  ・この音は五臓六腑を端(外殻)と根・隅(内と外)に分け、24音ずつ往復して48音が成る
  ・これが身の内を巡ることにより、病もなく永らえるのである』
 ・スミヱの翁(カナサキ)はこれをよく知り、ワカヒメはこれを聞いて育ったのだ」

<<前   次>>

用語解説

・カナサキ:いわゆる住吉神であり、アマテルの后の一人であるハヤアキツヒメの父に当たる
・ヒルコヒメ(ワカヒメ):イサナギとイサナミの第一子であり、『記紀』でいうヒルコに当たる

<<前   次>>


原文(漢字読み下し)

・正(まさ)に聞(き)くへし
・二尊(ふたかみ)の 天(あ)のアワ歌(うた)に
・国(くに)お生(う)み 地(わ)のアワ歌(うた)に
・音声(ねこえ)和(な)る

・後(のち)に一姫(ひひめ)お
・生(う)む時(とき)に 昼(ひる)なれは名(な)も
・ヒルコ姫(ひめ)

・年(とし)お越(こ)ゆれは
・タラチネの 四十二(よそふ)・三十三(みそみ)の
・汚穢(をゑ)隈(くま)も

・女(め)はタ男(を)はラに
・当(あた)らしと 捨(す)つおカナサキ
・思(おも)えらく

・子(こ)の早枯(はやか)れの
・傷(いた)みおも 乳(ち)お合(ゑ)し和(な)すか
・忘(わす)れ種(くさ)

・拾(ひろ)う廣田(ひろた)の
・宮(みや)宮(つく)り 育(そた)て上(あ)くまて
・カナサキの 常(つね)の教(をし)えは
・御言宣(みことのり)

・起尽(きつ)の始(はし)めの
・アワウワや 長(てふ)ち初(しほ)の見(め)

・生(うま)れ日(ひ)は 炊食(かしみけ)備(そな)え
・立舞(たちまひ)や 三冬(みふゆ)髪上(かみあ)け
・初日(はつひ)十五日(もち) 陽陰(あわ)の敬(うやま)ひ
・桃(もも)に雛(ひな) 菖蒲(あやめ)に茅巻(ちまき)
・棚機(たなはた)や 菊(ここ)・栗(くり)祝(いわ)ひ
・五歳(ゐとし)冬(ふゆ) 男(を)は袴(はかま)着(き)る
・女(め)は被衣(かつき)

・言葉(ことは)お直(たた)す
・陽陰歌(あわうた)お 常(つね)に教(をし)ゑて

・アカハナマ イキヒニミウク
・フヌムエケ ヘネメオコホノ
・モトロソヨ ヲテレセヱツル
・スユンチリ シヰタラサヤワ

・和(あわ)の歌(うた) カダカキ打(う)ちて
・率(ひ)き歌(うた)ふ 自(おの)つと声(こゑ)も
・明(あか)らかに 五臟(ゐくら)・六腑(むわた)端(を)
・根(ね)・隅(こゑ)分(わ)け 二十四(ふそよ)に通(かよ)ひ
・四十八声(よそやこゑ) これ身(み)の内(うち)の
・巡(めく)り優(よ)り 病(やまひ)あらねは
・永(なか)らえり スミヱの翁(をきな)
・これお知(し)る

<<前   次>>

現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります