現代語訳

・その後、早雉が飛んできて、根国の立山にオオハタレ(ハタレの大軍)が現れてアノ(安濃)に集まっていると報告した
 ・そこで、早速 諸神を集めて会議を開いた結果 フツヌシを派遣して討伐させることに決まった
フツヌシが戦場に向った時、イソラミチ※イソラカミ※(イソラの醸成)を行って野山を変貌させた
 ・また、叢雲を出したり、幾日(複数の太陽)を以って驚かし、棘矢(棘の付いた矢)を放って攻撃してきた
フツヌシは棘矢を掴んだが、これによって指を怪我したため、一旦引いて天(中央政府)に戦況を報告した
 ・すると、アマテルは考えた後にイソラミチへの対策としてヲコシ(おこし≒お菓子)とフキ(蕗)を与えた
 ・また、フツヌシは棘矢対策のための弓懸(手袋)を付けることにした
・そして、フツヌシは再び戦場に戻って、飛んでくる棘矢を掴んだ
 ・すると、ハタレは「矢に当たっても甦るとは、傷付かない身体なのか?」と思った
 ・そこで、フツヌシは「こちらには弓懸があるので何も痛くないぞ、これを受けよ」と言って、ハハ矢を放った
 ・ハタレハハ矢を掴めば、フツヌシ共々笑いあった
・そこで、フツヌシは「アマテル神より土産がある、このヲコシを受け取るが良い」と言ってヲコシを渡した
 ・すると、ハタレは喜んで「神は何故、我々の好物を知っているのか?」と尋ねた
 ・さらに、ハタレは「まさか貴様らは我々に降伏する気か?」と言った
 ・そこで、フツヌシは笑いながら「いやいや、殺す気である」と答えた
 ・すると、ハタレは怒って「何故だ」と言った
 ・そこで、フツヌシは「お前達が誇って化けるため、化けの源のイソラ(悪霊)を討つのだ」と答えた
・これを聞いたハタレはさらに怒り、穢汚をばら撒いて罵りだした
 ・そこで、フツヌシヲコシを投げ入れるとハタレマ(取り憑かれた者)たちは奪い合い、味方同士で争いを始めた
 ・その隙を見て味方が蕗(ふき)を焚き燻(いぶ)し、ハタレが咽(むせ)て逃げていくところを追い詰めて捕らえた
 ・その数、1000のハタレマであった
・しかし、イソラカミ(イソラの頭領)は これも昼寝(退屈凌ぎの意?)と余裕を表して、さらに勇んだ
 ・そこで、その余裕を逆手にとって四方を囲み、遂にイソラカミを生け捕って牢屋に入れた
・そして、1100人のモノマ(ハタレマ)も その地のシム(縁者≒地方官)に預けて、遂に凱旋を果たした

<<前   次>>

用語解説

・イソラミチ:ムハタレの一つで、イソラ(悪霊の類)が人や獣に憑いて化けたものを指す
・イソラカミ:この場合は"逸霊醸み(いそらかみ)"と捉え、悪霊・邪念の類を以って物的な変化を与える術を指す

<<前   次>>


原文(漢字読み下し)

・然(しか)る後(のち) また早雉(はやきし)は
・大(おお)ハタレ 根(ね)の立山(たてやま)に
・現(あらは)れて アノに到(いた)れは
・守議(かみはか)り フツヌシ遣(や)りて
・これを討(う)つ

・時(とき)にハタレの
・イソラ醸(か)み 野山(のやま)を化(か)えて
・叢雲(むらくも)や 幾日(いくひ)輝(かか)やき
・驚(おとろ)かし 棘矢(とけや)放(はな)せは
・フツヌシか 手(て)に取(と)る時(とき)に
・指(ゆひ)破(やふ)れ  先(ま)つ馳(は)せ帰(かえ)り
・陽陰(あめ)に告(つ)く

・君(きみ)考(かんか)ゑて
・イソラミチ ヲコシと蕗(ふき)と
・賜(たま)われは フツヌシ諸(もろ)と
・弓懸(ゆかけ)して 新(さら)に向(む)かいて
・矢(や)を求(もと)む

・ハタレ思(おも)えり
・矢(や)に当(あた)り よみかえるかや
・痛(いた)まぬか フツヌシ曰(いわ)く
・弓懸(ゆかけ)あり 何(なん)そ痛(いた)まん
・受(う)けよとて ハハ矢(や)放(はな)せは
・ハタレ取(と)る 共(とも)に笑(わら)いて

・みやけあり 神(かみ)よりヲコセ
・賜(たま)れは ハタレ喜(よろこ)ひ
・神(かみ)如何(いか)ん 我(わ)か好(す)き知(し)るや
・また曰(いわ)く 汝(なんち)も退(し)るや
・答(こた)ゑねは 笑(わら)って曰(いわ)く
・殺(ころ)すなり

・ハタレ怒(おこ)って
・何故(なにゆえ)そ 汝(なんち)ほこりて
・化(は)くる故(ゆえ) イソラ討(う)つなり
・なお怒(いか)り 穢汚(いわ)を蹴(け)あけて
・罵(のの)しれば フツヌシヲコセ
・投(な)け入(い)るる

・ハタレマ奪(うは)ひ
・争(あらそ)えり 御方(みかた)は蕗(ふき)を
・焚(た)き燻(いふ)す ハタレ咽(むせ)んて
・退(しりそ)くを 追(お)い詰(つ)め縛(しは)る
・千(ち)ハタレマ

・これも昼寝(ひるね)と
・なお勇(いさ)み 四方(よも)より囲(かこ)み
・イソラ頭(かみ) 遂(つい)に縛(しは)りて
・ツツガなす 千百(ちも)のモノマも
・その地(くに)の シムに預(あつ)けて
・諸(もろ)帰(かえ)りけり

<<前   次>>

現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります