現代語訳

・(ハタレが出車の前に据えられると、垂が上げられ アマテル、セオリツヒメ、アキツヒメが顔を出した)
 ・まず、アマテルヤサカニノマカルタマ※を出した
 ・また、セオリツヒメマフツノヤタカガミ※を出した
 ・また、アキツヒメクサナギノヤヱツルギ※を出した
・ここで、イフキヌシハルナに反乱の動機を尋ねた
 ・すると、ハルナはこの様に答えた
  ・「ヤツカレ(僕)に根のマスヒト(アメオシヒ)が教えたのだ
  ・"功を立てれば国守の地位を約束してやろう"と、また"これはソサノヲ※の詔である"と」
イフキヌシは「それがマフツ(真実)ならば鏡を見よ」といって、ハルナの姿を御鏡に映した
 ・すると、鏡に映ったハルナ達には悉く翼があった
イフキヌシは「このハタレはヌヱアシモチ※である、化け術で誑かす者は皆 斬ろう」と言った
 ・そこで、クマノクスヒ(クマノカミの祭主)クマノカミを招くとカラスが8羽飛んで来た
 ・そして、ハタレチ※(血・霊)を絞って、誓書を書かせた(チの浄化の儀式と思われる)
・その後、潮を浴びさせて再び鏡に姿を写した時、人の姿が映った60万人は民として向い入れた
 ・また、以前捕らえたムハタレも、同様にして裁くことになった
・そこで、ハルナのモノマ5000人と、国に預けた4000人のチを濯いだ
 ・その際、鏡に映したキクミチの頭領三人の姿にキツネの影があったため、これらをミツキツネ(三狐)と呼んだ
 ・よって、三狐および配下33万のタマタチ※(霊断=処刑)が決まった
 ・しかし、カダ(カダマロ)はキクミチの処刑の中止を申し出た

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用語解説

・ヤサカニノマカルタマ:陽陰の巡りを見る環形(真円形)の珠を指す(三種宝には数えられない)
・マフツノヤタカガミ:物や心の真実を写すヤタの鏡を指す(三種宝のヤタノカガミとは異なる)
・クサナギノヤヱツルギ:オヱ(汚穢)を祓い除ける剣を指す(三種宝のムラクモツルギとは異なる)
・ソサノヲ:アマテルの弟に当たるが、悪行を働いたために罪人として追放された。『記紀』でいうスサノオに当たる
・ヌヱアシモチ:詳細不明だが、相対的に"悪しき物"として捉えられる
・チ:血液と霊を掛け合わせた概念として用いられる(ホツマによれば、血と霊には密接な関係性があるかのように扱われる)
・タマタチ:タマノヲ(魂魄を繋ぐ物)を切って魂(霊体)と魄(肉体)を分離することを指す

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原文(漢字読み下し)

・君(きみ)ヤサカニの
・真珠(まかるたま) セオリはマフツ
・ヤタ鏡(かかみ) アキツ腐薙(くさなき)
・八重剣(やゑつるき)

・時(とき)にイフキト
・故(ゆえ)お問(と)ふ ハルナ答(こた)えて
・僕(やつかれ)に 根(ね)のマスヒトが
・教(をし)えけり 功(いさおし)成(な)らは
・国(くに)つ守(かみ) これソサノヲの
・御言(みこと)なり

・時(とき)にイフキト
・真直(まふつ)なら 鑑(かんか)みんとて
・御鏡(みかかみ)に 写(うつ)せは悉(ふつ)く
・翼(つはさ)あり イフキト曰(いわ)く
・このハタレ ヌヱアシモチそ
・化(は)け術(わさ)に 誑(たふ)らかす者(もの)
・皆(みな)斬(き)らん

・時(とき)にクスヒか
・隈(くま)の神(かみ) 招(まね)けは烏(からす)
・八(や)つ来(き)たる ここにハタレの
・霊(ち)お絞(しほ)り 誓(ちか)ひ留(とと)めて
・潮(うし)浴(ほあ)ひ 影(かけ)写(うつ)す時(とき)
・六十万人(むますたり) 人成(ひとな)るは皆(みな)
・民(たみ)となる

・先(さき)のツツガの
・六(む)ハタレも ハルナかモノマ
・五千人(ゐちたり)と 地預(くにあ)け四千(よち)
・皆(みな)召(め)して 霊(ち)お濯(そそ)く時(とき)
・キク三人(みたり) 直(す)くに狐(きつね)の
・影(かけ)あれは 名(な)も三狐(みつきつね)
・三十三万(みそみよろ) 霊断(たまた)ちせんを
・カダが乞(こ)ふ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります