現代語訳

・(アマテルは続けた)
・「私は昔、日輪(太陽)に居て照らしていたが、人の身が無く、導きが困難であった
 ・そこでイサナギ・イサナミの二尊を我が父母として招き、人の身に宿った
・しかし、母の胎内に長居してしまい、96ヵ月も留まってしまった
 ・その間 母は苦しみ、やっと生まれるのだが、それまで一日も安心できなかったという
・私は君の身となったが、親の恵みを感謝して、これを返さねばならないと思う
 ・そこで子を授かる道を、恵みとして返すのだ
・なお、私が生まれる切欠となったのは、トヨケ尊の祈願にある
 ・トヨケ尊はカツラギ山で禊して、障る汚穢を除こうと8000回も祈った
 ・これによって和し、願いが通じて天神(アメミヲヤ)が日霊を分け降ろし、我が神霊が現世に現れたのだ
・ミチナル(道が整う)ば、アサヒミヤに神(トヨケ)を祀り、アメノミヲヤに告げるべし
 ・代嗣の機を織るように、ヒナグルカズ(杼投げる数=頻繁)の代嗣子を授ける妹背のアグリは朝日を受けて暖まる
 ・その時に交われば子を孕み、イキス※(息)・声・見目を備え生む」

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用語解説

・イキス:呼吸、生きる様、活性化などの意味を指す

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原文(漢字読み下し)

・我(われ)昔(むかし) 日輪(ひのわ)にありて
・照(て)らせとも 人身(ひとみ)を受(う)けす
・導(みちひ)かす

・二尊(ふたかみ)ために
・父母(たらちね)と なりて招(まね)けは
・人(ひと)の身(み)と 成(な)りて孕(はら)めと
・長居(なかゐ)して 九十六月(こそむつき)まて
・苦(くる)しむる やや生(う)るれと
・見養(みひた)しに 一日(ひとひ)も安(やす)き
・心(こころ)無(な)し

・我(わ)か身(み)は君(きみ)と
・なるとても 親(をや)の恵(めく)みを
・返(かえ)さんと 付(ふ)して思(をも)えは
・子(こ)お授(さつ)く 道(みち)は恵(めく)みを
・返(かえ)すなり

・その源(みなもと)は
・トヨケ尊(かみ) カツラキ山(やま)に
・禊(みそき)して 障(さわ)る汚曲(よこか)を
・除(のそ)かんと 八千(やち)度(たひ)祈(いの)る

・和(に)ま貫(ぬ)けて 上神(あまかみ)日霊(ひる)を
・分(わ)け降(くた)し 我(わ)か心(こころ)生(な)る
・道(みち)成(な)るは 朝日(あさひ)の宮(みや)に
・神(かみ)祭(まつ)り アメノミヲヤに
・応(こた)ふなり

・代嗣(よつき)の機(はた)を
・織(を)らんとて 杼(ひ)投(な)くる数(かす)の
・代嗣子(よつきこ)を 授(さつ)くる妹背(いせ)の
・あくりには 朝日(あさひ)お受(う)けて
・暖(あたた)まる 時(とき)に婚(とつ)けは
・子(こ)お孕(はら)み イキス・声(こえ)・見目(みめ)
・備(そな)え生(う)む

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります