現代語訳

コヤネのミユキコト(葬儀)が終わった後、サルタはミモスソ(裳裾)について問うた
・すると、コヤネの声が聞こえてきて来た
 ・「昔、ハタレを破ろうとアマテル神が禊をした時、裳裾が岩に掛かってしまった
 ・それを引くと、勢いよく滝に落ち下ってしまった
 ・これを天地に祈れば、屑が流れていき、蛇が足を噛んだ
 ・そのため、その蛇を追い詰めて、留まる蕨で括って棄てた
 ・また、破れた裳裾はススクスを用いて直した
 ・後に、この出来事がシムミチを破るウツワ(器)となった
 ・ミナミソキして器を得て、ムミチを破り、民を治める
 ・皆、裳裾の流れである」
・(また、このような出来事がサルタにもあった)
 ・以前、サルタはアサカで漁をしている時、ヒラコに噛まれて溺れてしまった
 ・君はウスメ※を召してサルタを粒立つ粟の敷床に引き上げて、藁の上に寝かせた
 ・そして肺臓を温めて回復させた

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用語解説

・ウスメ:君に仕える侍女を指し、全体的な文面から恐らく個人名では無いと思われる。『記紀』でいう、アメノウズメに当たる

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原文(漢字読み下し)

・神逝事(みゆきこと)成(な)り
・その後(のち)に 裳裾(もすそ)問(と)えは
・サルタヒコ 昔(むかし)ハタレお
・敗(やふ)らんと 禊(みそき)なす時(とき)
・神(かみ)の裳(も)の 岩(いわ)に懸(か)かりて
・ひた引(ひ)けは 滝(たき)落(お)ち下(くた)る
・サクナダリ

・陽陰(あめ)に祈(いの)れは
・屑流(くすなか)れ 蛇(はみ)足(あし)お噛(か)む
・追(お)い詰(つ)めて 留(とと)まる蕨(わらひ)て
・括(くく)り棄(す)つ 裳裾(もすそ)の屑(くす)に
・敗(やふ)る故(ゆえ) 末々(すす)葛用(くすもち)い
・これお治(た)す シムミチ敗(やふ)る
・器(うつわ)得(ゑ)る

・穢禊(みなみそき)して
・器(うつわ)得(ゑ)て 六(む)ミチお敗(やふ)り
・治(をさ)む民(たみ) みな神(かみ)裳裾(もすそ)の
・流(なか)れなり

・サルタアサカに
・漁(すなとり)の 平子(ひらこ)に噛(か)まれ
・溺(おほ)るるお 君(きみ)ウス侍(め)して
・そことくに 粒立(つふた)つ粟(あは)の
・敷床(さくとこ)に 引(ひ)き上(あ)けさしむ
・藁(わら)に治(た)す 肺臓(はひら)お温(ぬ)きて
・萎(なまこ)熟(な)す

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります