現代語訳

・(景行)12年(上鈴799年)
 ・10月、ハヤミムラに到れば、そこの長のハヤミツメが御幸を聞きつけて自ら皇を迎えた
 ・そこで近隣の情勢をこのように説明した
  ・「北西の窟にはフツチクモ※(二地蜘蛛)が居り、名をアオクモシラクモと言います
  ・また、ナオリネギノにはミツチクモ(三地蜘蛛)が居り、名をウチサルヤタクニマロと言います
  ・このヰツチクモ(五地蜘蛛)は朋族の中でも力の強いものを集めておりますので、討つには相応の手練が必要です」
 ・これを聞いた皇は、すぐに進軍せずにクタミノムラの仮宮にて会議を開いた
  ・そこで「諸が一斉に打って出れば、蜘蛛らも恐れて隠れるであろう」という結論に至った
  ・故にツハキを採って槌を造り、猛将を厳選して槌で山を穿って草を分け、蜘蛛の隠れる窟に入って討ち殺させた
  ・これにより、イナハカワヘは治方(領地)となった

<<前   次>>

用語解説

・ツチグモ:中央政府の許可なく地を縄張りとする者の総称(雲と蜘蛛を掛けていると思われる)

<<前   次>>


原文(漢字読み下し)

・十月(めつき)に到(いた)る
・速見村(はやみむら) 長(をさ)ハヤミツメ
・御幸(みゆき)聞(き)き 自(みつか)ら迎(むか)え
・申(もふ)さくは 北西(ねつ)か窟(いわや)に
・二地蜘蛛(ふつちくも) 名(な)はアオクモと
・シラクモと 直入禰疑野(なおりねきの)に
・三地蜘蛛(みつちくも) ウチサルとヤタ
・クニマロと この五地蜘蛛(ゐつちくも)
・朋族(ともから)の 力(ちから)強(つよ)きお
・集(あつ)め置(お)く 強(あなか)ち召(め)さは
・戦(いくさ)せん

・ここに皇(すへらき)
・進(すす)み得(ゑ)す 来田見(くたみ)の村(むら)の
・仮宮(かりみや)に 議(はか)りて曰(いわ)く
・諸(もろ)撃(う)たは 蜘蛛(くも)ら恐(おそ)れて
・隠(かく)れんと 海石榴(つはき)お採(と)りて
・槌(つち)となし 猛(たけ)きお選(えら)み
・槌(つち)以(も)て 山(やま)お穿(うか)ちて
・草(くさ)お分(わ)け 窟(いわや)の蜘蛛(くも)お
・打(う)ち殺(ころ)す 稲葉(いなは)川辺(かわへ)は
・治方(ちた)となる

<<前   次>>

現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります