現代語訳

モモソヒメ※オオモノヌシ神※の妻となった
 ・大神(オオモノヌシ神)は、夜には見えるが、昼には見えず、結婚していても会うのはいつも夜だった
  ・そこで、モモソヒメは「そこで明かるいところで君の御姿を拝見したいと思います」と留まらせた
  ・すると、大神は「その言は顕著である、なれば我は朝方に櫛笥に入っているが、我の姿に驚くことなかれ」と言った
 ・モモソヒメは複雑な思いで翌朝に櫛笥を見ると、中に小蛇が入っていた
  ・姫が驚いて叫び泣くと、大神は恥じて人の姿となった
  ・そして、大神は「汝が耐えられないとは、我が恥である」と言い、大空を踏んでミモロヤマに帰って行った
 ・姫は空を仰いで自らを恥じ、ツキオル(心神喪失)で、箸をミホトに突き刺して罷った
  ・その後、姫はオオイチのハシツカに埋葬された
・ハシツカの造営に際し、昼は人手で、夜は神の手によって大坂山から石が運ばれた
 ・そして、諸が相次いで手輿を担いで墓が成れば、"墓成るの歌"が歌われた
  ・『大坂も 月の明を添え 石群を 手輿に遣さば、遣し勝てんかも』
  ・(大坂山からでも、月の明かりの添えがあれば、石群を手輿に乗せて運び尽くせるかも)

※箸墓古墳の築造を歌っていると思われる(『日本書紀』にも同様の説話が載せられる)

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用語解説

・モモソヒメ:孝霊天皇の皇女。『記紀』のヤマトトトヒモモソヒメに当たるが、ホツマではトトヒメは別に存在する
・オオモノヌシ神:ミモロ山に鎮座する神の顕現で、"クシヒコ"と"オホナムチのサキミタマとクシヰワザタマ"を指すとされる

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原文(漢字読み下し)

・モモソ姫(ひめ) オオモノヌシの
・妻(つま)となる 夜(よ)には来(きた)りて
・昼(ひる)見(み)えす 明(あ)けなは君(きみ)の
・御姿(みすかた)お 見(み)んと留(とと)むれは
・神(かみ)の告(つ)け 言著(こといちしる)し
・我(われ)朝方(あした) 櫛笥(くしけ)に入(い)らん
・我(わ)か姿(すかた) な驚(おとろ)きそと

・モモソ姫(ひめ) 心(こころ)怪(あや)しく
・明(あ)くる朝(あさ) 櫛笥(くしけ)お見(み)れは
・小蛇(こへひ)あり 姫(ひめ)驚(おとろ)きて
・叫(さけ)ひ泣(な)く 大神(おほかみ)恥(は)ちて
・人(ひと)と成(な)り 汝(なんち)忍()ひす
・我(わ)か恥(はち)と 大空(おほそら)踏(ふ)んて
・御諸山(みもろやま)

・姫(ひめ)仰(あほ)き恥(は)ち
・尽(つ)き下(お)るに 箸(はし)に陰没(みほと)お
・突(つ)き罷(まか)る 大市(おいち)に埋(う)む
・箸塚(はしつか)や

・昼(ひる)は人手(ひとて)に
・夜(よ)は神(かみ)の 大坂山(おおさかやま)の
・石運(いしはこ)ひ 諸(もろ)合(あ)ひ継(つ)きて
・手輿(たこし)担(か)て 墓(はか)成(な)るの歌(うた)

・大坂(おおさか)も 月(つき)の明(か)お添(そ)え
・石群(いしむら)お 手輿(たこし)に遣(こ)さは
・遣(こ)し勝(か)てんかも

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります