現代語訳

・なお、剣を造ると決まった時、早速 カネリ(金錬人)を10人召して剣を造らせた
 ・その中の一人が特別に秀でており、その者が造った剣は歯が鋭く極限を極めていた
・そこで、アマテルは金錬人に詔をした
 ・「汝の造った剣は良く研がれている
 ・しかし、左右の活き枯れを知らないようだ
 ・そこで教えて進ぜよう、確と聞くがよい
 ・タノメ(立の目)は春の活きる頃、左の眼を入れて錬成する剣は、イキミ(活き身)に近く、枯れに疎い
 ・よって もし誤れば恐ろしいことになる
 ・カノメ(朽の目)は秋の枯らす頃、右の眼を入れて錬成する剣は、カレミ(枯れ身)に近く、活きに疎い
 ・罪ある者を"枯れ"という、反面 罪無きものは"活き"という
 ・右の剣(朽の剣)は枯れ身を好み、活きを恐れる
 ・これを治めるのが宝物、このような剣を打つ(現す)べし」
アマテルの詔を聞いた金錬人は、畏れて100日のモノイミ(物忌み)をし、右眼一つで錬成した剣を8振 献上した
・すると、アマテルはこのように詔した
 ・「今、ここにある この剣は非常に優れている
 ・我が実心によく適い、まさに世の治まる宝物と言えよう
 ・よって、この剣をヤヱガキノツルギ(八重垣の剣)と名付けることにする」
・そういうと、剣を献上した金錬人を褒めて、アマメヒトツ※の尊という名を与えた
・その後、ハタレが乱れた時にカナサキおよびムマサカミ(六将守)に八重垣の剣を与えた
 ・「そしてハタレを討ち、ヤタミ(八民)を治めて国々を再興した
 ・また、枯れ(罪人)は涸らして、活きを得た」

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用語解説

・アマメヒトツ:カンミムスビの孫で、八重垣の剣を造り奉った。『記紀』でいう、アメノマヒトツに当たる

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原文(漢字読み下し)

・その時(とき)告(ふ)れて
・金錬人(かねりと)お 十人(そたり)に剣(つるき)
・造(つく)らしむ 中(なか)に一人(ひとり)は
・秀(ひい)てたり 刃鋭(やひはすると)く
・瑞(みつ)お割(わ)る

・この金錬人(かねりと)に
・御言宣(みことのり) 汝(なんち)か刃(やいは)
・良(よ)く研(と)きそ 然(しか)れと左右(まて)の
・活(い)き枯(か)れお 知(し)らす教(をし)えん
・確(しか)と聞(き)け

・立(た)の目(め)は春(はる)の
・活(い)きる頃(ころ) 左(た)の眼(め)お入(い)れて
・錬(ね)る剣(つるき) 活(い)き身(み)に近(ちか)く
・枯(か)れ疎(うと)し もし誤(あやま)るや
・恐(おそ)るなり

・朽(か)の目(め)は秋(あき)の
・枯(か)らす頃(ころ) 右(か)の眼(め)お入(い)れて
・錬(ね)る剣(つるき) 枯(か)れ身(み)に近(ちか)く
・活(い)き疎(うと)し

・罪(つみ)ある者(もの)お
・枯(か)れと言(い)ふ 無(な)きは活(い)きなり
・右(か)の剣(つるき) 枯(か)れ身(み)お好(この)み
・活(い)き恐(おそ)る これそ治(をさ)むる
・宝物(たからもの) これ現(う)つへしと
・宣給(のたま)えは

・畏(おそ)れて百日(ももか)
・物忌(ものい)みし 右眼(みきめ)一(ひと)つて
・錬(ね)る剣(つるき) 八振(やふり)上(あ)くれは
・御言宣(みことのり) 今(いま)この剣(つるき)
・むへ熟(によ)し 我(わ)か実心(みこころ)に
・よく適(かな)い 世(みよ)の治(をさ)まる
・宝物(たからもの) 名(な)も八重垣(やゑかき)の
・剣(つるき)とそ

・金錬(かね)りお褒(ほ)めて
・賜(たま)ふ名(な)は アマメヒトツの
・尊(かみ)となる

・後(のち)にハタレか
・乱(みた)る時(とき) カナサキ及(およ)ひ
・六将守(むまさかみ) 剣(つるき)賜(たま)わり
・ハタレ討(う)ち 八民(やたみ)治(をさ)むる
・勢(いきお)ひも 枯(か)れは涸(か)らして
・活(い)きお熟(ゑ)る

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります