現代語訳

・(孝霊)36年(上鈴463年)
 ・3月7日、ハラミ山に御幸することが決まった
 ・その道が成ると、黒田より香具山、賀茂や多賀の宮や、スワサカオリ宮のタケヒテル※が御饗して待った
 ・ハラミ山を上って下るスバシリ裾を巡り、ムメオオミヤに入った
 ・そこで春日のチチハヤが申し上げた
  ・「峰にて採ったミハノアヤクサはチヨミグサでしょうか?
  ・諸が食おうとしましたが、煮ても苦いため、誰も食いません」
 ・すると、君はこう言った
  ・「中峰の充てはアワ海である
  ・なれば、八峰は裾のヤツウミ(八湖)であろう
  ・八湖も三つ埋まってしまったが、噴火しても眺めは変わらない」
 ・そして自ら歌を作って詠んだ
  ・『半ば旧り 半ば沸きつつ 九の山と 共統つまりの コノヤマよこれ』
  ・(あるときは朽ち崩れ、またある時は噴出しつつ、この九つの山は不二一体である、これは最高峰の山よ)
 ・このように歌を詠んで、山の新名を考えていると、タゴノウラビトが藤の花を捧げてきた
 ・君は、これらの縁を重ね合わせて、ハラミ山の新名を生む御歌を歌った
  ・『ハラミ山 一奮咲けよ 藤蔓の 名をも縁の 熟山よこれ』
  ・(ハラミ山よ、一奮に栄えよ、藤蔓の名も縁と交えて付けよう、最高峰の山よ)
 ・これにより、ハラミ山の名は"フシノヤマ"となった

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用語解説

・タケヒテル:ホノアカリとタマネヒメの二子で、ニギハヤヒ(クニテル)の弟

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原文(漢字読み下し)

・三月七日(やよひなか) ハラミ山(やま)へと
・御幸(みゆき)成(な)る その道(みち)成(な)りて
・黒田(くろた)より 香久山(かくやま)賀茂(かも)や
・多賀(たか)の宮(みや) 諏訪(すわ)サカオリの
・タケヒテル 御饗(みあえ)して待(ま)つ
・山登(やまの)り 下(くた)るスバシリ
・裾(すそ)巡(めく)り 梅央宮(むめおおみや)に
・入(い)り居(ゐ)ます

・春日(かすか)申(もふ)さく
・峰(みね)に得(ゑ)る 御衣(みは)の紋草(あやくさ)
・千齢見(ちよみ)かや 諸(もと)食(く)わんとて
・煮(に)て苦(にて)し 誰(たれ)も得(ゑ)食(く)わす

・中峰(なかみね)の 充(あ)てはアワ海(うみ) 
・八峰(やつみね)は 裾(すそ)の八湖(やつうみ)
・三(み)つ埋(う)まり 焼(や)くれと眺(なか)は
・変(かわ)らしと 御作(みつく)りの歌(うた)

・半(なか)は旧(ふ)り 半(なか)は沸(わ)きつつ
・九(こ)の山(やま)と 共(とも)統(し)つまりの
・熟山(このやま)よこれ

・かく詠(よ)みて 山(やま)の新名(さらな)と
・思(おほ)す時(とき) 田子(たこ)の浦人(うらひと)
・藤(ふち)の花(はな) 捧(ささ)くる縁(ゆかり)
・孕(はら)み合(ゑ)て 名(な)お生(う)む御歌(うた)

・ハラミ山(やま) 一奮(ひとふる)咲(さ)けよ
・藤蔓(ふしつる)の 名(な)おも縁(ゆかり)の
・熟山(このやま)よこれ

・これよりそ 名(な)もフシの山(やま)

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります