現代語訳

【食 万事 生り初めの文(みけよろつなりそめのあや)】

・天地が和した時のこと、アマテルはフタミカタ(二見潟)に御幸して、潮を浴びて禊をした
・供のクマノクスヒ(ヌカタダ)は、気に掛かったことをアマテルに質問した
 ・「父よ、ヤフサクルマで御幸するのだから、神には穢れなど無いのではありませんか?」
・すると、アマテルは詔した
 ・「ヌカタダよ、また皆も聞くがよい
 ・私のウマレネ(生まれ付き)には垢もなく、太陽を受けて生まれたために根も清い
 ・しかし、蠢く民を見れば目は穢れ、悪しき訴えを聞けば耳も穢れるのだ
 ・ハナモチナラヌヲシヱクサ(放持ならぬ教え種)を納め諭すには清く在らねばならない
 ・ココロハ(心派)のムハシ(六端)を濯いで身を清め、ヒヲネ(陽の根本)に返って神形を成す
 ・獣肉を食えばチ(血・霊)が穢れる
 ・四音の名の獣はカホ(汚火)が過ぎて、食えば(寿命が)縮んで身も枯れるのだ
 ・例えば、濁る水は(純粋に比べて)乾くのが早い、これと同様に肉も濁れば乾いて尽きるのも早いのだ
 ・キヨナ(清菜)を食えば血も清くなり、潮の如し万年を保つ(身を清めれば長生きする)」

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用語解説

・クマノクスヒ:アマテルの御子で、クマノカミの祭主。『記紀』でいうクマノクスビに当たる

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原文(漢字読み下し)

【食(みけ)万事(よろつ) 生(な)り初(そ)めの文(あや)】

・天地(あめつち)も 和(の)けき時(とき)に
・和照(あまて)らす 神(かみ)の御幸(みゆき)の
・二見潟(ふたみかた) 潮(みしほ)を浴(あ)ひて
・禊(みそき)なす

・供(とも)のクスヒか
・訝(いふか)さお 陽陰(あめ)に申(もふ)さく
・父帝(ちちみかと) 八房輦(やふさくるま)の
・御幸(みゆき)なす 神(かみ)も穢(けか)れの
・あるやらん 時(とき)に和照(あまて)る
・御言宣(みことのり)

・汝(なんち)ヌカタダ
・諸(もろ)も聞(き)け 我(わ)か生(うま)れ根(ね)に
・垢(あか)もなく 太陽(あを)受(う)け生(う)まれ
・根(ね)は清(きよ)く 蠢(うくめ)く民(たみ)に
・目(め)も穢(けか)れ 悪(あ)しき訴(うた)えに
・耳(みみ)穢(けか)れ

・放持(はなもち)ならぬ
・教(をし)ゑ種(くさ) 納(をさ)め諭(さと)せる
・心派(こころは)の 六端(むはし)濯(そそ)きて
・身(み)お精(し)らけ 陽央(ひを)根(ね)に返(かえ)る
・神形(かんかたち)

・汚(け)の肉(しし)食(は)めは
・血(しむ)穢(けか)れ  四(よ)つなる獣(しし)は
・汚火(かほ)過(す)きて 縮(ちち)み穢(けか)れて
・身(み)も枯(か)るる

・例(たと)えは濁(にこ)る
・水(みつ)乾(かわ)く  肉(しし)も濁(こ)れは
・乾(かわ)き尽(つ)く

・清菜(きよな)を食(は)めは
・血(ち)も清(きよ)く 潮(うしほ)の如(こと)し
・万齢(よよ)保(たも)つ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります