現代語訳

・(垂仁)33年(上鈴721年)
 ・ミワのタタネコがヤマシロフチ(山背国造)の館に到った時、オホクニサラス(大国県主)が問うた
  ・「一人娘を三家に乞われたが、誰にやっても二家には恨まれる、そこで娘の嫁ぎ先を決めて欲しい」
 ・これにタタネコ※は答えて言った
  ・「明日、カモカミ(賀茂神)の御前にて決めましょう」
 ・こうしてタタネコサラスは共に行き、(河合宮の)ミヲヤノカミに和幣を成してワカを奉った
  ・『天地の 和の栄えを 祝はるる メヲノミヲヤ(夫婦の御祖)の 神ぞ貴き』
  ・(天地の和の栄えを祝えば、夫婦の御祖のウガヤタマヨリヒメは貴き神である)
 ・そのとき、神が告げに御歌を歌った
  ・『世の中に もの思う人の 有りといふは 我を頼まぬ 人にぞありける』
  ・(世の中には物思う人があるが、物の答えは自分では無く その本人にあるのだ)
 ・神歌を聞いたタタネコは、(サラスに)このように提案した
  ・「これが迷ういわれです、よって今から神に100日詣でて来てください、その間に私が図って答えを出しましょう」
 ・こうしてタタネコが貴船で帰る時、歌を詠んだ
  ・『アワ海の 安曇の神と スミノヱも 共に貴船の 守り神かな』
  ・(琵琶湖のアズミノカミスミヨシカミも、共に貴船の守り神でしょう)
 ・サラスは賀茂(別雷宮)に行き、ワケイカツチの神にも和幣とワカを奉った
  ・『人草を ワケイカツチの 守る故 御世は治まる カモの神風』
  ・(ワケイカツチの神が人草を守る故、カモの神風によって御世が治まっています)

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用語解説

・タタネコ(オオタタネコ):オミケヌシの孫で、オオミワ神(大神神社)の斎主となる。『ホツマツタヱ』の編者

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原文(漢字読み下し)

・三十三年(みそみとし) ミワのタタネコ
・山背(やましろ)か 館(たち)に到(いた)れは
・サラス問(と)ふ 娘一人(むすめひとり)お
・三家(みや)に乞(こ)ふ 誰(たれ)に遣(や)りても
・二(ふ)は恨(うら)む 極(きわ)め指(さ)し給(たま)へ
・答(こた)え言(い)ふ 明日(あす)賀茂神(かもかみ)の
・御前(みまえ)にて 極(こ)め定(さた)めんと

・共(とも)に行(ゆ)く 御祖(みをや)の神(かみ)に
・和幣(にきて)成(な)し 奉(たてまつ)るワカ

・天地(あめつち)の 和(みよ)の栄(さか)えお
・祝(いわ)はるる 夫婦(めを)の御祖(みをや)の
・神(かみ)そ貴(たふと)き

・時(とき)に神(かみ) 告(つ)けの御歌(みうた)に

・世(よ)の中(なか)に もの思(おも)ふ人(ひと)の
・有(あ)りといふは 我(われ)お頼(たの)まぬ
・人(ひと)にそありける

・神歌(かみうた)お 聞(き)きてタタネコ
・曰(いわ)くこれ 迷(まよ)ふ謂(ゆえ)なり
・今(いま)よりそ 百日(ももか)詣(もふ)てて
・来(き)たりませ 我(われ)図(はか)らんと
・行(ゆ)く貴船(きふね) タタネコか歌(うた)

・アワ海(うみ)の 安曇(あつみ)の守(かみ)と
・スミノヱも 共(とも)に貴船(きふね)の
・守(まも)り神(かみ)かな

・賀茂(かも)に行(ゆ)き ワケイカツチの
・神(かみ)もまた 和幣(にきて)とワカと

・人草(ひとくさ)お ワケイカツチの
・守(まも)る故(ゆえ) 御世(みよ)は治(をさ)まる
・カモの神風(かんかせ)

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります