現代語訳

・(アマテルは続けた)
 ・「天地の報いとは、罪を犯せば己に返るという理である
  ・そのため、他人を打ったときには相手が傷付くだけだが、やがて他人の痛みが後の己の病として現れるだろう
  ・それがアマガツチ(天地の掟?)である
 ・また、他人の財を盗めば己が富んだかのように思えるが、その分 己が損なわれるのである
  ・そもそも盗みを働いた時、盗みを働いた罪の他に財を隠した罪が生じる
  ・これによって、己の健康を害する罰が与えられるだろう
  ・それでも改めなければ、天地人(世間)の目によって虐げられ、さらに天地の監視によって主人に報告されるだろう
  ・罪がばれて滅ぶ時、己はどうしようもなく、他人が喜ぶだけである
  ・これはシム(霊)の恥となり、悔やんでも返るものではない
 ・罪人が子供を持てば、荒く猛々しい松の様にねじ曲がった子が生まれるであろう
  ・そしてワガママに育ち、道に背いた曲がったものとなる
 ・しかし、人も薪を切るが如く、惜しまず斬ればシムが痛むであろう
  ・そこで子を直す法として、間引き植え替え新木を培えば直木となるだろう(環境や教育者を変えると言うことか?)
  ・これすなわち親心であり、細かく篤いトノヲシヱ※(調の教え)である
 ・親子を木に喩えれば、子は親の根である
  ・幼児を新木と擬えて培えば、真っ直ぐな親となることが道理であろう
  ・それ故に、環境の恵みを知れば木がよく育つかの如く、子もまた立派な棟梁として育つのである
  ・反面、アラタケココロ(荒く猛々しい心)で子に当たれば、その子は邪なハタレとなるのも道理である
 ・益人よ、幼い頃の拗けた芽は気付くのが早ければ早いほど校正も楽というもの
  ・己にアタラケココロがあると知れば、早々に改めるべし」

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用語解説

・トノヲシヱ:調和と秩序の教えを指す

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原文(漢字読み下し)

・天地(あめ)の報(むく)ひは
・盗(ぬす)めるも 謗(そし)るも打(う)つも
・己(み)に返(かえ)る 他人(ひと)を打(う)てとも
・その時(とき)は 痛(いた)き報(むく)ひも
・あらされと 後(のち)の病(やま)ふは
・天地(あま)か槌(つち)

・盗(ぬす)みも他人(ひと)か
・知(し)らされは 財(たから)得(う)るとそ
・思(おも)えとも 一度(ひとたひ)隠(かく)し
・二(ふた)盗(ぬす)み 三度(みたひ)損(そこ)なひ
・改(あらた)めす 天(あめ)・地(つち)・人(ひと)の
・見(み)る所(ところ) 天地(あめ)の見付(みつけ)は
・人(ひと)に告(つ)く

・罪(つみ)露(あらは)れて
・滅(ほろ)ふ時(とき) 為(な)すこと無(な)くて
・悲(かな)しきは 他所(よそ)は喜(よろこ)ふ
・シムの恥(はち) 悔(く)めと返(かえ)ぬ

・子(こ)お持(も)たは 確(しか)と聞(き)くへら
・荒猛(あらたけ)の 松(まつ)はねしけて
・わたかまる 人(ひと)の若葉(わかは)も
・我儘(わかまま)に 道(みち)に悖(もと)りて
・わたかまる

・人(ひと)も焚木(たきき)に
・切(き)る如(こと)く 惜(お)しまてシムの
・痛(ゐた)みかな

・子(こ)お養(ひた)す法(のり)
・曲松(くせまつ)お 引(ひ)き植(う)ゑ新木(あらこ)
・培(つちか)えは 直木(なおき)となるそ

・親心(をやこころ) 細々(こまこま)篤(あつ)き
・調(と)の教(をし)ゑ

・子(こ)は長(をさ)の根(ね)そ
・幼子(おさなこ)に 新木(あらこ)教(をし)ゑて
・培(つちか)えは 直(なお)き長(さ)とそ
・なる心(こころ)

・恵(めく)みお知(し)らは
・木宝(こたから)の 棟(むね)・梁(うつはり)と
・なる如(こと)く 人(ひと)の住居(すまゐ)の
・上(うえ)にあり

・荒猛心(あらたけこころ)
・子(こ)に求(もと)め 利(き)き過(す)きねちけ
・よこしまの ハタレとなるそ
・マスヒトら 幼(おさな)の時(とき)は
・ねちけの芽(め) 早(は)や改(あらた)めよ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります