現代語訳

・タカマにてカナサキ※コクミに尋問した
・すると、コクミはこう答えた
 ・「サシミメは実は我が妻です
 ・また、かつての君のクラキネが遺したオシテ※(離婚状)もあります」
・そこで、カナサキは「汝、何処の出身だ」とコクミに問うた
・すると、コクミは「民である」と雄叫びを上げた
カナサキは、コクミに対してこのように言った
 ・「いや、汝は獣に劣る罪人である
 ・サシミメの計らいでマスヒトに昇格したのだから、サシミメは汝の君であり母にも値するぞ」
・(カナサキコクミの罪を量って このように申し渡した)
 ・「汝を量刑すれば、このようになるであろう
 ・まず、君の恩を忘れた罪が100座、次に母の恩を忘れた罪が20座
 ・母を犯す罪、オシテの歪曲(都合の良い解釈)の罪、これはそれぞれ100座と100座
 ・姫(クラコヒメ)を蔑にした罪が50座で、計370座の罪である」
・(カナサキは量刑の方法と、その結果を このように申し渡した)
 ・「刑罰は、天回り360度のトホコノリ※(経矛法)で裁く
 ・90~179座で"所去る(流刑)"
 ・180~269座で"さすらう(位階剥奪)"
 ・270~359座で"交り去る(禁獄)"
 ・360座~で"命去る(死刑)"
 ・コクミの罪は四つ割過ぎて命去る(死刑)となる」
・こうしてコクミの刑が決まると、執行までツツガ(牢屋)に入れて置かれた

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用語解説

・カナサキ:いわゆる住吉神であり、アマテルの后の一人であるハヤアキツヒメの父に当たる
・オシテ:複数の意味があるが、この場合は"証書(離婚状)"という意味合いを指す
・トホコノリ:「経」を教え諭し、それでも従わない者を綻ろばすという制度を指す

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原文(漢字読み下し)

・タカマにて カナサキ問(と)わく

・コクミ言(い)ふ サシメは真(まこと)
・我(わ)か妻(つま)よ 君(きみ)去(さ)りますの
・オシテあり

・また問(と)ふ汝(なんち)
・何人(なにひと)そ

・民(たみ)と言(い)ふにそ
・お猛(たけ)ひて

・獣(けもの)に劣(おと)る
・罪人(つみひと)そ サシメ捧(ささ)くる
・縁(ゆかり)にて マスヒトとなる
・御恵(みめく)みの 君(きみ)なり母(はは)よ

・清汚(さか)見(み)れは 君(きみ)を忘(わす)るる
・百座(ももくら)と 母(はは)も二十座(ふそくら)
・犯(おか)するも オシテの辱(はち)も
・百(もも)と百(もも) 姫(ひめ)蔑(ないかし)ろ
・五十座(ゐそくら)と 総(すへ)て三百七十(みもなそ)

・天回(あまめく)り 三百六十度(みもむそたひ)を
・経矛法(とほこのり) 所(ところ)を去(さ)ると
・さすらふと 交(ま)り去(さ)ると
・命(いのち)去(さ)る 四(よ)つ割(わ)過(す)きて
・綻(ほころ)ひと ツツガに入(い)れて

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります