現代語訳

コヤネはカシマ宮にて年を越した
モノヌシ(コモリ※)は井堰を築きつつ、ヒスミに参詣した
・すると、祖父のヒスミノキミ(オホナムチ※)は喜んで こう言った
 ・「そなたの父のクシヒコは、ヤマトノカミ(ヤマトヲヲコノミタマカミ)となった
 ・その後、私は孫に会いたいと思っていたが、すっかり年老いてしまったよ」
・このように言って自ら御饗を催すと、コモリもこれに喜んで互いに話が盛り上がった
 ・コモリは「我が君の山のヤフサ(富士八峰)には、ヰユキ(氷雪)が積もります」と話した
・この話にヒスミノキミは驚いて、コモリにこう言った
 ・「私も新田を造営してきたが、そのようなことは知らなかった
 ・君は真のテラスカミ(照らして恵む君)である、幾代のミヲヤ(上祖)として忠を尽くしなさい」
・このように御饗を楽しんだ後、オホナムチは名残惜しみながらコモリを国境まで送り届けた
・その後、コモリは海辺を西に巡りつつ、指絵(構想)通りに新田を興した
 ・また、佐渡に渡って新田を成すと、越に戻って井堰を築いた

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用語解説

・コモリ:クシヒコの子で、オホナムチの孫に当たる。ニニキネの剣臣(オオモノヌシ)となる
・オホナムチ:ソサノヲとイナタヒメの五子で、出雲建国後初の子。『記紀』でいうオオナムチに当たるが、微妙に異なる

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原文(漢字読み下し)

・コヤネカシマに
・年越(としこ)ゆる モノヌシ一人(ひとり)
・ヒタカミの 堰(いせき)成(な)し成(な)し
・日隅(ひすみ)詣(ま)て 祖父(ををち)喜(よろこ)ひ
・その父(ちち)か 和(やまと)の神(かみ)と
・成(な)りて後(のち) 孫(まこ)に会(あ)いたく
・年寄(としよ)ると 手(て)つから御饗(みあえ)

・モノヌシも 喜(よろこ)ひ曰(いわ)く
・我(わ)か君(きみ)の 山(やま)お八房(やふさ)の
・凍雪(ゐゆき)成(な)す 祖父(おおち)驚(おとろ)き
・我(われ)たとひ 新田(あらた)成(な)すとも
・これ知(し)らす 君(きみ)は真(まこと)の
・照(て)らす尊(かみ) 代々(よよ)の上祖(みをや)そ
・忠(まめ)なせと 国境(くにさかい)まて
・送(おく)りてそ 名(な)残(なこり)あるなり

・モノヌシは 海辺(うみへ)お西(にし)に
・巡(めく)りつつ 指絵(さしゑ)に新田(あらた)
・興(おこ)さしむ 佐渡(さと)に渡(わた)りて
・新田(あらた)成(な)す 越(こし)に戻(もと)りて
・堰(いせき)成(な)すかな

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります