現代語訳

【産が屋 葵桂の文(うかやあおいかつらのあや)】

・36鈴34枝38穂3月15日のこと
ワケイカツチノアマキミ(ニニキネ)は諸臣を召して詔した
 ・「昔、ニハリの宮を立てて、田水のためにハラミ山(の開拓)を成し、30万の民を治めて遂にシハカミホツマが成った
 ・我はアマツヒツギを受け継いでワケイカツチノカミとなった
 ・31万年の間 地を治めたが、今は年老いてしまったため、アノヒツキをウツキネ※(ヒコホオテミ)に譲ろうと思う」
・この詔は御使によって各地に伝えられた
 ・すると、ツクシ32県の県主は「詔によって定まったからには万歳を祝おう」と惜しみながら受け入れて、後の御幸を乞うた
シガノカミが船を用意しようと問えば、それにワニが答えた
 ・「オオカメならばひと月を跨いでしまうでしょう
 ・カモであればひと月、オオワニであれば少々(すぐ)です」
・これをウツキネ(ヒコホオテミ)に伝えると、このように答えた
 ・「父(ニニキネ)を召す時は騒がしくなるだろう
 ・そのため、私はオオワニ、姫(トヨタマヒメ)はカモに乗せて後に送れ」
・船が決まると、早速 シガノウラのオオワニの縄を解き、それに乗って北の都(イササワケ)に向かった
 ・オオワニは疾風の如く進み、すぐに都まで到った
・ミツホ宮にウツキネ(ヒコホオテミ)が帰って来ると、天君(ニニキネ)も臣も喜んだ

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用語解説

・ウツキネ:ニニキネとアシツヒメの三男で、ヤマサチヒコとなる。ウガヤの父。『記紀』のヤマサチヒコに当たる

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原文(漢字読み下し)

【産(う)か屋(や) 葵桂(あおいかつら)の文(あや)】

・三十六鈴(みそむすす) 三十四枝三十八(みそよゑみそや)
・三月十五日(やよいもち) ワケイカツチの
・天君(きみ)は 諸臣(もろとみ)召(め)して
・御言宣(みことのり) 昔(むかし)ニハリの
・宮(みや)立(た)てて 田水(みつ)のために
・ハラミ山 成(な)りて三十万(みそよろ)
・民(たみ)お治(た)す 遂(つい)に地上(しはかみ)
・ホツマ成(な)る

・和(あま)つ日月(ひつき)お
・受(う)け継(つ)きて ワケイカツチの
・尊(かみ)となる 三十一万年(みそひよろとし)
・治(をさ)むれは 齢(よはひ)も老(お)いて
・天(あ)の日月(ひつき) 今(いま)ウツキネに
・譲(ゆつ)らんと

・御使(をしか)到(いた)れは
・三十二守(みそふかみ) 慕(した)ひ惜(お)しめと
・御言宣(みことのり) 定(さた)まる上(うえ)は
・万歳(よろとし)お 祝(いは)ひて後(のち)の
・幸(みゆき)乞(こ)ふ

・シガ船(ふね)問(と)えは
・ワニか言(い)ふ 大(おお)カメならは
・月越(つきこ)えん カモは一月(ひとつき)
・大(おお)ワニは 少々(ささ)と申(もふ)せは
・宣(の)給(たま)はく 父召(め)す時(とき)は
・騒(さは)かなり 我(われ)は大(おお)ワニ
・姫(ひめ)はカモ 後(あと)に遅(おく)れと

・大(おお)ワニお シガの浦(うら)より
・綱(つな)解(と)きて 早(はや)ちに北(きた)の
・都(つ)に着(つ)きて イササワケより
・ミツホまて 御帰(みかえ)りあれは
・天君(きみ)も 臣(とみ)も喜(よろこ)ふ

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります