現代語訳

・この頃、タカマではムハタレの蜂起に手を焼いており、ハタレ打倒の守議の真っ最中であった
 ・そこで、アマテルは禊をして"ハタレ祓いの種"を得た(8文参照)
・そして、ムハタレ蜂起の根源を根国のマスヒトのアメノオシヒと断定し、イフキヌシ※に討伐を命じた
 ・イフキヌシは討伐に向かう道すがら、サホコの宮(ミヤツ)のアサヒカミ(トヨケ神)を参詣した
 ・そして、根国の方へ向かっていくと、イヅモ※の路で下民に出会った
・その下民は笠・簑・剣を投げ捨てて、何かを呟きながら、目から滝のように涙を流していた
 ・よく見ると、それは8年ぶりに見た叔父のソサノヲであった
 ・ソサノヲは「思えば私は数々の悪事を働いた、ハタレの蜂起も私の驕った心が原因であろう」と言い、悔し涙を流していた
 ・そして「叔父・甥のシム(親族)の過ちを償おうと思う」と言い、嘆きながら歌った
  ・『上下に殖る 吾が実の瘡ゆ シムの幹 三千日 挟まで あらぶる虞れ』
  ・(天地の社会を知ったが、私がこうしていられるのもシムノミキ(血統)があってのことである、正に畏れ多い)
 ・このように3度歌うと、イフキヌシの肝に応えた(心を打った)
イフキヌシは平伏するソサノヲに情けをかけて共に涙を流し、駒から降りて その手を引き起こした
 ・これがシムノヨリ(血の絆)というものである
 ・そして、イフキヌシソサノヲに、こう言い渡した
  ・「罪を直す(アイヱルコト)は後の忠(ノチノマメ)、功を為せば罪も晴れることでしょう
  ・さあ、私を助けてください、一緒にマスヒトを討てば それが忠となりましょう」
 ・こうしてソサノヲは、イフキヌシ率いるカミイクサ(官軍)の一員に加えられることになった

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用語解説

・イフキヌシ:ツキヨミの子であり、ムハタレ討伐などで活躍した
・イヅモ:この当時は、イサワから見て西北にある地域を指すとされていたようである(ソサノヲによる建国後は別)

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原文(漢字読み下し)

・タカマは 六(む)つの
・ハタレ醸(か)み 蜂(はち)の如(こと)くに
・濫(みた)るれは 守議(かみはか)りして
・ハタレ討(う)つ

・君(きみ)は禊(みそき)の
・サクナタリ ハタレ厭(ゐと)ふの
・種(たね)を得(え)て みよ治(をさ)まれと
・源(みなもと)は 根(ね)のマスヒトに
・因(よ)るなれは イフキトヌシに
・討(う)たしむる

・頷(うなつ)き向(むか)ふ
・八十続(やそつつ)き サホコの宮(みや)の
・アサヒ神(かみ) 拝(をか)みて到(いた)る
・イツモ方(ち)の 道(みち)にたたすむ
・下民(したたみ)や

・笠(かさ)・簑(みの)・剣(つるき)
・投(な)け捨(す)てて 何(なに)宣言(のりこち)の
・大眼(おおまなこ) 涙(なんた)は滝(たき)の
・落(お)ち下(くた)る 時(とき)の姿(すかた)や
・八年(やとせ)ふり

・思(おも)い思(おも)えは
・ハタレとは 驕(かた)る心(こころ)の
・我(われ)からと やや知(し)る今(いま)の
・ソサノヲか 悔(くや)みの涙(なんた)

・叔父(おち)・甥(おい)の シムの誤(あやま)ち
・償(つく)のえと 嘆(なけ)き歌(うた)ふや

・上下(あも)に殖(ふ)る 吾(あ)か実(み)の瘡(かさ)ゆ
・シムの幹(みき) 三千日(みちひ)挟(はさ)まて
・あらふる虞(おそ)れ

・かく三度(みたひ) 肝(きも)に応(こた)えて
・情(なさ)けより さすかに温(ぬ)るる
・イフキ守(かみ) シムの蹲(つくは)え
・ソサノヲの 手(て)お引(ひ)き起(おこ)す
・シムの寄(よ)り

・阿(あ)癒(い)ゑる事(こと)は
・後(のち)の忠(まめ) 功(いさおし)成(な)せは
・晴(は)れやらん 我(われ)お助(たす)けて
・一途(ひとみち)に マスヒト討(う)たは
・忠(まめ)なりと

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります