現代語訳

【八雲討ち 琴つくる文(やくもうちことつくるあや)】

・下層に落ちたサスラヲ※(ソサノヲ※)は、雨(天)を懼(畏)れて蓑笠を纏って彷徨った
 ・しかし、蓑笠を脱いで休む宿も無かった
・そのような惨めな生活を経て、ようやくネノクニ※(根国)に到った
・そして、サホコ国にある弓削の疎守(ソシモリ※)のツルメソ※の家に転がり込んだ
 ・こうして宿を得ることができたものの、天性のシムノムシ※(血の虫)が騒ぎ出していた

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用語解説

・サスラヲ:"曲り外れた男"の意であり、罪人となった後のソサノヲを指す
・ソサノヲ:アマテルの弟だが、イサナミのオヱ(汚穢)を受けて荒々しい性格で生まれたため、悪事を働いて天を追放された
・ネノクニ:"越し峰の国"の意であり、日本アルプスを越えた向こうにある国を指す(北陸+中国地方)
・ソシモリ:辺境の地域を守護する者(いわゆる防人)
・ツルメソ:サホコチタルのソシモリ(防人)を担う弓削(弓を削る職掌)で、ソサノヲを匿った
・シムノムシ:生まれ付きの欠陥・異常を指す

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原文(漢字読み下し)

【八雲(やくも)討(う)ち 琴(こと)つくる文(あや)】

・粗(あら)かねの 地(つち)に堕(お)ちたる
・流離男(さすらを)の 雨(あめ)の虞(おそ)れの
・蓑(みの)・笠(かさ)も  脱(ぬ)かて休(やす)まん

・宿(やと)も無(な)く 散(ち)にさまよひて
・咎(とか)め破(や)る スリ・疚事(やわこと)に
・辿(たと)り来(き)て ついに根(ね)の国(くに)
・サホコなる 弓削(ゆけ)の疎守(そしもり)
・ツルメソか 家戸(やと)に噤(つく)むや
・血(しむ)の虫(むし)

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります