現代語訳

【皇孫 十種得る文(すめみまことくさゑるあや)】

・26鈴16枝41穂年キヤヱの3月のこと
 ・大和の春日県を治めていたカスガ(ヰチヂ※)は、老年になれば政を離れるという理に則って その旨をオシホミミ※に告げた
 ・そこで、オシホミミは御子のクシタマホノアカリ※(斎名はテルヒコ)を大和に下そうと考えた
 ・そのため、オシホミミ自らツケフミ(告文)を記し、カグヤマツミを勅使としてアマテルの元に派遣した
・その告文にはこうあった
 ・「私(オシホミミ)が自らアシハラクニ(畿内)を治めようとしましたが、政庁を整える前に民が集まってしまいました
 ・そのため、テルヒコに政を託したとと思います」
アマテルは告文の内容を許し、遣いを派遣して このように返答した
 ・「ここにトノカミ※(ト祖)のアマツカミ(天つ神)のトクサタカラ(十種宝)を授けよう
  ・オキツカガミ
  ・ヘツカガミ
  ・ムラクモノツルギ
  ・ウナルタマ
  ・タマカエシタマ
  ・チタルタマ
  ・ミチアカシタマ
  ・オロチヒレ
  ・ハハチシムヒレ
  ・コノハヒレ
 ・トクサタカラ(十種宝)とは、この十種のことである」
・また、アマテルは このように詔した
 ・「もし、傷むことがあれば、『一二三四五六七八九十(ひゆみよゐむなやこと)』まで数えて振るわせよ
 ・このように ゆらゆら振るえば、既にマカルモノ(罷る者・曲がる者)でも再び甦るであろう
 ・これがフルノコト※である」

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用語解説

・ヰチヂ:アマノコヤネの父。霊還しの方法を整えた功績により、ココトムスビ、カスガトノの名などを賜った
・オシホミミ:アマテルとセオリツヒメの御子で、日嗣の御子として皇位継承した。『記紀』でいうオシホミミに当たる
・クシタマホノアカリ:オシホミミの長男で『日本書紀』でいうアマテルクニテルヒコホノアカリ(九段一書 八)に当たる
・トノカミ:天元神の一で、ミナカヌシに次いでヱノカミと共に日本に天降ったとされる
・フルノコト:十種宝を使用する際の呪文のようなもので、使うと傷みを甦らせるという

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原文(漢字読み下し)

【皇孫(すめみまこ) 十種(とくさ)得(ゑ)る文(あや)】

・二十六鈴(ふそむすす) 十六枝四十一穂(そむゑよそひほ)
・年(とし)キヤヱ 三月(やよい)カスガの
・年老(としを)いて 政(まつり)休(やす)まん
・理(ことわり)に 和照(あまて)らします
・オシホミミ 御子(みこ)はクシタマ
・ホノアカリ 斎名(いみな)テルヒコ
・下(くた)さんと 父(ちち)自(みつか)らの
・告(つ)け文(ふみ)を カグヤマ使(しか)に
・奉(たてまつ)る

・文(ふみ)に申(もう)さく
・自(みつか)らか 葦原国(あしはらくに)お
・治(をさ)めんと 装(よそ)ふ間(ま)に民(たみ)
・集(あつ)まりて ひた留(とと)むゆえ
・テルヒコを 下(くた)すへきやと
・伺(うかか)ゑは 妹背(いせ)の御神(をんかみ)
・聞(きこ)し召(め)し 許(ゆる)せは使(しか)の
・返言(かえこと)す

・ここにト祖(をや)の
・天(あま)つ神(かみ) 十種宝(とくさたから)お
・授(さつ)けます オキツ鏡(かかみ)と
・ヘツ鏡(かかみ) ムラクモ剣(つるき)
・ウナル珠(たま) 霊還(たまかえ)し珠(たま)
・チタル珠(たま) ミチアカシ珠(たま)
・オロチヒレ ハハチシムヒレ
・コノハヒレ この十種(とくさ)なり

・傷(いた)む如(こと) あらは一二三四(ひふみよ)
・五六七八九(ゐむなやこ) 十(と)まて数(かそ)えて
・振(ふ)るえたた ゆらゆら振(ふ)るえ
・かく為(な)せは 既(すて)に曲(まか)るも
・甦(よみかえ)る 奮(ふ)る宣言(のこと)そと
・御言宣(みことのり)

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります