現代語訳

【還十二の后 立つ文(こゑそふのきさきたつあや)】

・御蓋山の縁に集まった百臣は、統べる国の政を直した
・そのとき、サルタヒコ※がコヱ(桑・還)のヒノテ(日の出)のいわれと問うと、コヤネ※がこれに答えて言った
 ・「これは昔、スクナヒコ※よりオホナムチ※へ、またオホナムチより私が授かった教えである
 ・その昔、タカミムスビ※ヤソキネ※がトシタアメミヤにて1500の子らに伝えた教えはこのようなものであった
 ・『コヱノミチ己を全くして長らえり(輪廻転生の道は個々の人生を満たすことで霊魂を成長させることである)』
 ・蚕飼も同じく、桑の木は東西南北の四方に栄えて、枝も根も三又と成り、12の穂末(四方×三又)となる
 ・365日の日の回りで1年に成りて、春秋と4つに分かれる(春夏秋冬の四季)
 ・桑の根も(月の運行に関わり、1年で)月は12度巡行し、星に合って成立する12月は12穂末と一致する」

<<前   次>>

用語解説

・サルタヒコ:ニニキネに仕えて、種々の功を立てた。『記紀』のサルタヒコに当たる
・コヤネ:ヰチヂとアサカヒメの子で、カントミ(イセの道の教人)となる。『記紀』でいうアメノコヤネに当たる
・スクナヒコ:ヤソキネの子で、オホナムチと協力して病気治療や害獣・害虫の駆逐を行う。(『記紀』のスクナヒコナ)
・オホナムチ:ソサノヲとイナタヒメの五子で、出雲建国後初の子。『記紀』でいうオオナムチに当たるが、微妙に異なる
・タカミムスビ:"ヒタカミ国を統べる者"という役職名を指す
・ヤソキネ(カンミムスビ):トヨケの子で、6代目タカミムスビに当たる。ココリヒメと結婚し、シラヤマカミとなる

<<前   次>>


原文(漢字読み下し)

【還十二の后 立つ文】

・ミカサ端(は)に 寄(よ)る百臣(ももとみ)の
・統(し)め国(くに)の 政(まつり)直(たた)して
・サルタヒコ 桑(こゑ)お日(ひ)の出(て)の
・故(ゆえ)問(と)えは コヤネ答(こた)えて
・これ昔(むかし) スクナヒコより
・ヲオナムチ 我(われ)に授(さつ)けり

・過(かれ)昔(むかし) タカミムスビの
・ヤソキネと 千五百(ちゐも)の子(こ)らに
・教(をし)えには トシタ天宮(あめみや)
・還(こゑ)の道(みち) 己(み)お全(また)くして
・長(なか)らえり

・蚕飼(こか)も同(おな)し
・桑(くわ)の木(き)は 四方(よも)に栄(さか)えて
・枝(ゑた)も根(ね)も 三又(みつまた)成(な)りて
・十二(そふ)穂末(ほすえ)

・三百六十五日(みもむそゐか)の
・日(ひ)の回(めく)り 一年(ひとせ)に成(な)りて
・春(はる)秋(あき)と 四(よ)つに分(わ)かるる

・桑(くわ)の根(ね)も 月(つき)は十二度(そふたひ)
・星(ほし)に合(あ)い 成(な)る十二月(ふつき)は
・十二(そふ)穂末(ほすゑ)

<<前   次>>

現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります