現代語訳

・(コヤネは続けた)
 ・「昔、アマカミは桑の根を食べて身の肉を恵み、清めて栄養を巡らせた
 ・また、イチゴ(果実)を食べて潤えば、経過する世々を楽しむことができ、寿命が尽きれば還るのである
 ・身(遺骸)はヨモツへ行き、心(魂魄)は陽陰に還って また生まれる
 ・幾度の世々を楽しめば、人の誕生は日の出に喩えられ、罷れば日の入りに喩えられる、故にこのように言える
 ・"コヱノミチ覚え生まるは日の出なり(輪廻転生の法則を思えば、世に生まれることは毎朝の日の出と同じである)"
 ・アメナカヌシ※は百ハカリ(1千万年)の齢も、天の周りの百万トメチも、人の生き死にも一回りである
 ・故に百万年の寿も、日の一巡と違いは無い
 ・人草(民)の平均寿命の2万年も終日の百百(100×100=10000)の二切れ(2つ分)である
 ・その長短についてにつくづく思えば、ミナカヌシから"ヱ"の代に増減が1度あり、"ト"の代にも寿命が変わった
 ・また、4度の世代交代があったクニミコトの時代とトコタチの代(クニサツチ・トヨクンヌまで)は変わらず百ハカリ齢(1000万年)であった
 ・ウヒチニからイサナギの代にかけて寿命は3度変わった
 ・これは人草の代々の食事回数の増えたことが原因と思われたため、食事を謹ませた
 ・これは君が子(臣・民)の永らえを思う故に御歌を成し、この歌によって道を教えた
 ・『天尊の 桑に周らす ハラノナ(ハホ菜・ラハ菜)の 苦きに形(身体) かたく成し 百万寿を 守るべらなり』」

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用語解説

・アメナカヌシ(ミナカヌシ):史上初の人(元祖クニトコタチ)であり、アメミヲヤ(根源神)の顕現とされる(アメノミナカヌシ)

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原文(漢字読み下し)

・昔(むかし)天尊(あまかみ)
・根(ね)お食(は)みて 身(み)の肉(しし)恵(めく)り
・清(さ)め全(また)く イチゴお食(は)みて
・潤(うるほ)えは

・永(なか)らひ世々(よよ)に
・楽(たの)しみて 尽(つ)くれは還(かえ)す
・身(み)は黄泉(よもつ) 心(こころ)は陽陰(あめ)に
・還(か)え生(う)まれ

・幾度(ゐくたひ)世々(よよ)に
・楽(たの)しめは 人(ひと)の生(う)まれは
・日(ひ)の出(て)なり 罷(まか)るは入(い)る日(ひ)

・還(こゑ)の道(みち) 覚(おほ)ゑ生(う)まるは
・日(ひ)の出(て)なり

・アメナカヌシの
・百(も)ハカリ齢(よわひ) 天(あめ)の周(めく)りの
・百万(もよ)トメチ 生(う)まれ罷(まか)るも
・一回(ひとめく)り 百万年(ももよろとし)の
・寿(ことふき)も 日(ひ)の一回(ひとめく)りそ

・人草(ひとくさ)の 均(なら)し二万年(ふよほ)も
・終日(ひめもす)の 百百(もも)の二切(ふたき)れ

・長(なか)短(みし)か 言(い)わすつらつら
・思(おも)みれは ミナカヌシより
・ヱの代(よ)に 増(ま)し減(へ)り一度(ひとたひ)
・トの代(よ)にも 寿(ことふき)変(かわ)り

・地尊(くにみこと) 四度(よたひ)替(かわ)りて
・トコタチの 代(よ)は変(かわ)わらす
・百(も)ハカリ齢(よわひ)

・ウヒチニよりそ
・イサナキに 三変(みかわ)わり 今(いま)の
・人草(ひとくさ)の 弥々(よよ)食(た)へ増(ま)すお
・謹(つつし)めと

・子(こ)の永(なか)らえお
・思(おも)す故(かれ) 道(みち)教(をし)えるも

・天尊(あまかみ)の 桑(こゑ)に周(めく)らす
・ハ・ラの菜(な)の 苦(にか)きに形(かたち)
・頑(かた)く成(な)し 百万(もよこと)寿(ことふき)お
・守(まも)るへらなり

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります