現代語訳

・このとき、オトタマカワのシラスナに昼寝している者が居た
 ・その者の名はチマタカミ※と言い、身の丈17尺(約5.15m)、面はカカチ、鼻の高さは7寸(約21cm)、目は鏡のようだった
・その様相から、ニニキネの御伴の八十守は恐れをなした
 ・そこでニニキネウスメ※を召して「汝、メカチをして問うべし」と命じた
 ・そこでウスメは胸を開け、モヒホ(陰部)を曝け出して、嘲笑い(アサワラフ)ながら向った
チマタカミは目覚めて「何故そのようなことをしているのだ?」と問うた
 ・ウスメは「御孫の御幸先に居る貴方は何者?」と問うた
 ・すると、チマタカミは「神の御孫が御幸すると聞き、ウカワの仮谷で御饗して待っていたナガタサルタヒコである」と答えた
 ・ウスメは「どちらが先を行くのだ?」と問うと、サルタヒコ※は「我から先に行こう」と答えた
 ・また、ウスメは「汝は君(ニニキネ)がイキマストコ(落ち着く土地)を知っているか?」と答えた
 ・すると、サルタヒコはこう答えた
  ・「君はツクシのタカチホへ行くのが良いだろう
  ・我はイセ(イサワ)の南のナカタガワの者である
  ・汝、我が名を君に顕せば、我も君の名を世に顕すだろう」
ウスメがこれをニニキネに伝えると、ニニキネは喜んでウノハナも また簪にして進んだ

※尺寸の数値は現在の物を適応しているが、文献上における詳しい数値は不明である

<<前   次>>

用語解説

・サルタヒコ(チマタカミ):文献中、最も長身で最も長寿とされる守で、種々の功を立てた(『記紀』のサルタヒコ)
・ウスメ:君に仕える侍女を指し、全体的な文面から恐らく個人名では無いと思われる(『記紀』のアメノウズメ)

<<前   次>>


原文(漢字読み下し)

・オトタマ川(かわ)の
・親土(しらすな)に 昼寝(ひるね)して居(い)る
・チマタ守(かみ) 身(み)の丈十七尺(たけそなた)
・面案山子(つらかかち) 鼻高(はなたか)さ七寸(なき)
・目(め)は鏡(かかみ)

・供(とも)の八十守(やそかみ)
・恐(おそ)るれは 御孫(みまこ)ウス侍(め)に
・御言宣(みことのり) 汝(なんち)粧(めか)ちに
・問(と)ふへしと ウス侍(め)胸開(むねあ)け
・下秘部(もひほ)曝(さ)け 栄(あ)さ笑(わら)い行(ゆ)く

・チマタ守(かみ) 覚(さ)めてかくする
・何故(なにゆえ)や 曰(いわ)く御孫(みまこ)の
・御幸先(みゆきさき) かく居(お)るは誰(た)そ
・答(こた)え言(い)ふ 神(かみ)の御孫(みまこ)の
・御幸(みゆき)なす ウカワ仮屋(かりや)に
・御饗(みあえ)して 合(あ)ひ待(ま)つナガタ
・サルタヒコ

・ウス侍(め)また問(と)ふ
・何(いつ)れから 行(い)くや答(こた)えて
・我(われ)行(ゆ)かん また問(と)ふ汝(なんち)
・知(し)るや君(きみ) 居(い)き座(ま)す床(とこ)お
・答(こた)え言(い)ふ 君(きみ)はツクシの
・タカチホそ 我(われ)はイセの南(さ)
・ナカタガワ 汝(なんち)我(わ)か名(な)お
・顕(あらわ)さは 我(われ)も出(いた)さん

・返言(かえこと)す 御孫(みまこ)喜(よろこ)ひ
・卯(う)の花(はな)も また髪挿(かさ)し行(ゆ)く

<<前   次>>

現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります