現代語訳

・瑞垣を直す匠らは、ウツロヰの社木(東北の一柳)を恐れた
 ・そこで、ヲコヌシウツロヰ※を一時 他の木に移して、繕いが成った後にまた戻すという、仮移しを行った
 ・このようにすると、障害は無かった
・また、ウツロヰヤマサカミになると、ヱトを補い償ぎ守った(ウツロヰがヱトの60 × 6環に余る5日を補った)
 ・しかし、アラヤ(正殿)造営の際、ウツロヰが強く咎めた(邪魔をした)
・これにより、ヲコヌシウツロヰに意見した
 ・ヲコヌシは「汝は何故、民のアラヤを咎めるのだ?」と言った
 ・ウツロヰは「ヲタ(穢泥)を伏せずに庭屋に穢れを撒いて我を穢す、故に咎めるのだ」と答えた
ヲコヌシニニキネに告げると、ニニキネは このように詔した
 ・「ウツロヰよ、汝がヤマサカミを離れそうになったとき、私が乞うて再びカミとした
 ・それなのにも関わらず、汝は我が民を故なく咎めた
 ・民は田を肥やしてソロを植え、堅地を熟地(ニワ)とする、それ故にニワヤ(熟屋=便所)という
 ・汝はこれを知らぬが故に穢れるのだ
 ・よって、汝は"アヱ""ヤヱ"の中5日は、東北(方角)の守を離れて遊び行け(5日は顔を出すな)
 ・この間の5日に屋造りすることにしよう
 ・これも汝の名の誉れである(ウツロヰ=移ろい)
 ・そうでもしなければ東北方面の守屋は完成せぬであろう」

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用語解説

・ウツロヰ:空(空間)を治める神霊を指し、ナルカミ(雷)を司る

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原文(漢字読み下し)

・瑞垣(みつかき)を 直(な)す匠等(たくみら)
・ウツロヰの 社木(やしろき)あれは
・恐(おそ)るるを ヲコヌシ他(ほか)の
・木(き)に移(うつ)し 繕(つくろ)ひ成(な)りて
・また戻(もと)す これ仮移(かりうつ)し
・障(さわ)り無(な)し

・またウツロヰの
・ヤマサ守(もり) ヱトの補(ほ)により
・償(つ)き守(まも)る 然(しか)れと主屋(あらや)
・造(つく)る時(とき) 強(つよ)く咎(とか)むる
・これにより またヲコヌシに
・問(と)わしむる

・ヲコヌシ曰(いわ)く
・汝(なんち)また 民(たみ)の主屋(あらや)お
・咎(とか)むるや ウツロヰ答(こた)え
・穢泥(をた)伏(ふ)せす 庭屋(にわや)穢(けか)れお
・我(われ)に出(た)す 故(ゆえ)に咎(とか)むる

・ヲコヌシか 申(もふ)せは御言(みこと)
・これ汝(なんち) 守(もり)離(はな)るるを
・我(われ)乞(こ)ふて  また守(もり)となす
・我(わ)か民(たみ)お 故(ゆえ)なく咎(とか)む
・民(たみ)は田(た)を 肥(こ)やしソロ植(う)ゆ
・汝(なんち)知(し)れ  堅地(こわ)お熟地(にわ)とす
・故(かれ)熟屋(にわや) 知(し)らて穢(けか)るや

・これにより アヱよりヤヱの
・中五日(なかゐつか) 守(もり)お離(はな)れて
・遊(あそ)ひ行(ゆ)け この間(ま)五日(ゐか)に
・屋造(やつく)りす これも汝(なんち)か
・名(な)の誉(ほま)れ 去(い)なは殆(ほとん)と
・ウツロヰの 守(も)り屋(や)果(は)なれん

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現代語訳文の目的・留意点

・この現代語訳は、内容の理解を目的としています
・原文を現代語で理解できるようにするために、原文を現代語に訳して箇条書きで表記しています
・原文や用語の意味などについては「ほつまつたゑ 解読ガイド」をベースにしています
・原文に沿った翻訳を心がけていますが、他の訳文と異なる場合があります(現代語訳の一つと思ってください)
・文献独自の概念に関してはカタカナで表記し、その意味を()か用語解説にて説明しています
・()で囲んだ神名は、その神の別名とされるものです
・()で囲んだ文章は原文には無いものですが、内容を理解し易いように敢えて書き加えています
・人物名や固有名詞、重要な名詞については太字で表記しています
・類似する神名を区別するため、一部の神名を色分けして表記しています
・サブタイトルについては独自に名付けたものであり、原文には無いものです
・原文は訳文との比較の為に載せています(なお、原文には漢字はありません)
・予告なく内容を更新する場合があります